たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2001年12月18日執筆  2002年1月1日掲載

RE:RE:RE:(れぇれぇれぇ)

どうも、はじめまして。鐸木能光(たくき よしみつ)です。
狛犬が取り持つ縁で、今回、AICに加わることになりました。
私がどういう人間かを説明するのはとってもやっかいです。職歴だけでも、並べていると何十行にもなってしまう。
もともとは音楽をやってました。オフコース(と言っても、今や分からない人のほうが多い?)風のポップデュオとしてビクターからレコードデビューすると同時に、相棒と喧嘩してアルバムレコーディング中に解散した、という哀しすぎる経験を皮切りに、作詞・作曲、歌手(「ロッテパイの実 ブルーベリーヨーグルト味」のCMソングなんぞ歌ってた)という音楽稼業。そのうち、食うために、アニメビデオや冗談カセットの制作総指揮、ゴーストライター(今や国会議員のタレントさんから、外国人タレント、売れっ子脚本家の小説版ゴーストまで)、コピーライター、ラジオ番組台本作家、英会話教材の執筆、予備校の講師、雑誌記者(なぜか年輩の大物とお笑い系タレント専門に取材させられたなぁ)、などなど、仕事になるものはなんでも受けるようになって身を崩しました。
10年ほど前には、第四回「小説すばる新人賞」というのをいただき、小説家という肩書きも加わったんですが、同じ1955年生まれで第三回受賞者の篠田節子氏は今や直木賞作家、第二回の花村萬月氏は芥川賞作家で、僕だけ「花の55年組」に入り損ねました(泣)。
そうこうしているうちにバブルは終わり、完全な不況に突入。今はWEBコンテンツ制作(デジタル工房)代表や母校・上智大学の非常勤講師なんかもやってます。生きていくって、ほんっとに厳しいことなんですねぇ。
『テレビチャンピオン』に「器用貧乏王選手権」というシリーズがあれば、絶対に負けない自信があるんだがなぁ(いばれないって)。

さて、このコラムのタイトルは「器用貧乏王」ではなくて、「デジタルストレス王」。
デジタルストレスとはなんぞやという話はおいおいやっていくとして、初回は、とっても分かりやすい「デジタルストレス」の例として、ウイルスメールの話なんぞしてみましょうか。
実は私、ざっと数えても数十のサイトの管理をしております。これだけでも十分デジタルストレス王でしょう?
タヌパックスタジオ」という、我が屋号の名前が付いた個人サイト(http://tanupack.com)を立ち上げたのが最初でしたが、そこから派生した趣味のサイト「狛犬ネット」http://komainu.net、インターネットの荒野に咲く白百合のごとき文芸サイト「文藝ネット」(http://bungei.net)と「著作権証明機構準備サイト」(http://chosakuken.org)。
 これらの道楽や義侠心?、そして日々の生活を支えるために始めたITビジネスのサイト。そこではホームページ制作のビジネスもやっているので、そのクライアントのサイトも入れたら、一体いくつのサイトを切り盛りしているのか分からないですね。
 で、ネット上で公開しているメールアドレスだけでもたくさんあるわけで、やってくるウイルスメールの数も半端じゃない。
 例えば今日は、朝(本当は昼)起きて、仕事用のメールボックスを開けると88通のメールが入っていました。最後にアクセスしたのが明け方の4時くらいだから、寝ている数時間のうちにこれだけ届いたわけです。
 そのうち72通はウイルスメールで、6通はいわゆるSPAM(無差別広告メール)。本当に仕事に関係したメールは10通のみ。ああ、デジタルストレス。
 次に個人用のメールボックス(ITビジネス以外の「本業」のメールはこっちに届く)を開けると、16通入っていて、そのうち12通がSPAM、2通がウイルス。つまり、まともなメールはたったの2通。うう、デジタルストレス。
 今、これを書いている間にも、数分に1通の割合でウイルスがやってくる。この原稿を編集長に送信して、同時に受信すると、またどさっと入っているでしょう、ウイルス。おお、デジタルストレス。

 でもまあ、さすがにこれだけ来ると慣れますね。慣れは偉大です。(そうか?)
 ちなみに、ウイルスメールの感染は大昔に一度しただけ。あんな経験は一度で十分。
 パワフルなマシンを使っているわけじゃないので、ウイルス防止ソフトは常駐させていません(持ってるけれど)。
 今、数分おきにやってくるウイルスのほとんどは、Badtransというやつで、こいつはいくつかの特徴を持っています。その中で、
  1. 題名が Re: だけのものが多い。
  2. 送信者メールアドレスがアンダースコア( _ )で始まっているものが多い。
 という2つの特徴を利用して、メールソフトのフィルターに、この2つのいずれかの条件を満たすメールが来たら、ダウンロードせずにサーバー上で削除してしまうようにしています。これで8割方は消えます。
 また、Badtransには、特定の送信者アドレスを持つパターンがあり、そのリストは公開されているので、これはサーバーの設定で、受信そのものを拒否しています。
 それでもフィルターをすり抜けてメールソフトまで到達するウイルスもいます。
 タイトルが Re: だけじゃなくて、「Re: Re:~~~」と、Re:が2つつながっているメールとか、送信者メールアドレスが「山田太郎<_yamachan@mokemoke.net>」など、メールアドレスだけじゃなくて実名が前にくっついている場合、フィルターの条件には合わないから、通過してしまうわけですね。
 ま、すり抜けてきたウイルスは、機械的にパコパコ削除していくだけ。昔は「消えろ!」「失せやがれこの野郎!」なんて心の中で呟きながら削除してましたけど、今はそんな感情さえ皆無。淡々とDelキーを押すのみ。

 ウイルスメールというのは、言ってみればデジタル版無差別テロですね。電子メールやプログラムは質量を持っていないデジタルな存在だけれど、これが「物質」だったらどうなるんでしょう。ウイルスメールが爆弾だったら、今頃人類は滅亡してますね。
 で、このウイルスメールをここまでのさばらせた元凶は、はっきり言ってOutlook Expressというメールソフトだと思いますが、いきなり初回から「Outlook Expressをやめて国産メールソフトを使おう!」なんて言い出すと、読者の風当たりが強いだろうし、説明が長くなりすぎるから、ここはぐっとこらえよう……。
 ああ、これもまたデジタルストレスかなあ。

 ……ん? (でも、Outlook Expressを使うなら、迷惑のかからないように設定だけはきちんとやりましょう。Outlook Expressについては、→こちらのガイドをどうぞ)
 

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