たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2004年4月9日執筆  2004年4月13日掲載

こんなとき何ができる?

これを書いているのは2004年4月9日(金曜)の深夜。
この文章がAICに掲載されるのは13日(火曜)の朝。
つまり、「3日後」の結果を知らないで書いている。

何をするのがいちばんいいのか。頭を冷やして考えてみる。
まずは彼ら3人のことをよく知ることから始めようと、3人の名前をGoogleで検索した。
カメラマンの郡山総一郎さんについてはWEB上での活動がメインではないためほとんどヒットしなかったが、高遠菜穂子さんと今井紀明さんについては、数多くのWEBページがヒットした。こんなときにも、本人が開設したサイトや、本人が書き込んだ日記が、普通の状態で読めることに驚いた。アクセスが殺到してサーバーが落ちても不思議ではなさそうなものなのに。

表のニュースからは見えてこない二人の生の声、生き様が見えてくる。まだサーバーが無事であることを祈りつつ、そのいくつかを列挙する。
僕などが声高に何かコメントするよりも、彼らのことをより正確に、多くの人たちが知ることこそ、意味のある何かにつながると思うから。
各WEBページで、印象に残った文章などもいくつか要約あるいは抜粋しておく。

●高遠菜穂子さん

οご本人が主催するサイトは
http://www.clubwee.com/
その中の日記は2月16日を最後に更新が途絶えていた。

バグダッドにいるジャーナリストの方からメールがきて、就職の決まったアッバースという男の子がこんな風に言っていたよ、と知らせてくれました。うれしいです。仕事は火曜日から始めると、イラク人ボランティアからメールがありました。けれど、ボロイ小屋は土壇場に来て借りれなくなったという話もありました…。イラク人ボランティアががんばってくれています。大丈夫でしょう。なんとかなります(笑)
「ナホコと会わなかったら、今もシンナーを吸ってブラブラしていたと思う。仕事頑張ってお金をためて家を買いたい」


ο一緒に活動をしていたYATCHことPEACE ONの相澤恭行氏「イラクからの風」には、彼女の最後の足取りが記されている
相澤氏の報告はいろいろなところに掲載されているが、特に印象的だったのは
★イラク派遣自衛隊員ひとりが受け取る手当は月額約75万円(正確には1日あたり最大24000円)。PEACE ONが昨年10月、第一回目の支援活動で現地に持っていった寄付金総額は約80万円。この80万円で、通学手段がない子供たちのために盲学校へ中古バスを1台、必要度の高いPurinetholという抗がん剤を1病院に約1か月分届け、さらには、永続的な支援に欠かせない現地事務局に、ネット通信環境を調えることができた。(要約)
という話

ο自衛隊のイラク派遣が決まる直前、高遠さんは「イラクからの手紙」という題で、現地の人たちの生の声を政府に届けている。この内容が、あちこちに転載されている。
「イラクからの手紙」
ここここここ
★We are welcome to get Japanese people as a visitors, NGO, doctors,
engineers, and companies. Please no army any more! (Mohanned Zaid, Baghdad)

その他、帰国した際に行っていた多数の報告会の一端などが、ここなどで知ることができる。

●今井紀明さん

彼はBNNという北海道のニュースサイトで「市民記者」として寄稿していた。
活動を紹介した記事がここここにある。
実際に書いた記事はこれなど。
また、JANJANというニュースサイトにも記事を書いている。実際に書いた記事は、これこれなど。
他にも、様々な媒体で精力的に書いていた
メールマガジンも発行していたらしい。
そのエネルギーに、ただただ驚く。

まず第一歩は、彼らが書いてきたこうした文章に触れて、彼らの実像をより正確に知ること。知れば、何をすべきかは自然と見えてくる。
例えば、上記URLの中身を現地の言葉に訳した「3人の活動歴紹介ビデオ」を作り、アルジャジーラに放送してもらう。「やるべきこと」のひとつとしてそういう発想が、政府、あるいは外務省の中から、初日のうちに出てこない。面子や建前にこだわっているというより、完全に思考停止している。

彼ら3人がどういう人間なのかを相手になんとかして知らせようと、NGOや個人レベルで、すばやい行動が起こったのは当然だろう。政府に期待している時間がもったいないという判断も含めて。
(2004年4月9日深夜 記)

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