たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2004年9月3日執筆  2004年9月7日掲載

架空請求詐欺はなぜ減らないのか

最近、久しぶりに架空請求詐欺葉書が舞い込んできた。
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未納料金お支払いのお願い (REQUEST FOR PAYMENT)
請求内容:
現在、貴殿が以前携帯電話・パソコン等でご利用になられた、有料番組サイト等の料金が未だ未納となっており、日々延滞金が発生している状態です。
本日、当社「トータルテック」が貴方様がご利用になられた運営業者様から債権回収の依頼を正式に受理しましたので、今後当社がご請求させていただきます。
重要:
弊社で確認しました所、お客様の場合、未だご利用になられたサイトのログアウト〔退会手続き〕がお済みになっておりません。又、未納金や延滞金のお支払いのご説明もございますので、本書到着後、下記まで大至急お問い合わせください。
ご注意:
万が一、お支払いやご連絡がなき場合は裁判手続き、又、金融機関の全停止処分、信用情報機関へのブラックリストとしての登録、さらに「給料差し押さえ」の内容証明をご勤務先に送付させていただきますので早急にお支払い、ご連絡をよろしくお願いします。尚、お問い合わせはご本人様に限ります。ご本人様以外のお問い合わせにはお答えすることができませんので御了承下さい。
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以前にも一度受け取ったことがあるが、今度のは3色刷で、途中に「ご請求コード」「お客さまコード」「当社管理コード」などという表示があり、そこにバーコードが刷り込まれているなど、かなり涙ぐましい「努力」がうかがえる。
最後にはごていねいに、

【ご注意】
弊社は最近多発している悪質な架空請求の業者ではありません。
貴殿が実際にご利用なった有料番組サイトの正規の回収委託事務所です。
中には心当たりが無くても一度でもアクセスすると、登録がなくても自動的に料金が加算されるシステムが多発していますので、今後ともご注意ください。

などという文面が赤字で印刷されている。
以前来た葉書は墨1色で、文面もすぐに見破られるような稚拙なものだったので、比較すると、「この業界」も日々進歩しているのだなあと、苦笑してしまった。

Googleで「架空請求」を検索すると、架空請求業者を検索できるサイトなどもあった。
届いた葉書には業者名も住所も電話番号も書かれているので、試しにここで検索してみたが、ちゃんと記録されていた。
複数の登録があり、中には「電話をしたら、いきなりどやしつけてきた」なんていう報告もあった(電話しちゃだめでしょが)。

この手の犯罪は急増しているが、増えていて一向に減らないということは、連中が「儲かっている」という証拠である。
儲かっているというだけでなく、摘発が甘いということもありそうだ。
電話番号を記してあるのだから、その気になればいくらでも摘発は可能なはず。しかし、実際にはビシビシ摘発されているとは思えない。
被害届けが出されなければ検挙できないというような法体系では、今後もこの手の詐欺犯罪は増える一方だろう。被害がなくても、詐欺行為を働いた時点で重罰を問えるような法改正が必須だ。さもなければ、「詐欺ほどおいしい商売はない」という現実だけが、犯罪者たちにどんどん学習されていく。

警察はネットなどに「架空請求届け出窓口」を設け、そこに複数の届けがあった事例に関しては被害があろうがなかろうがただちに摘発に乗り出す。
詐欺行為が証明されれば、ただちに法的処分を下せるようにする。
交通裁判みたいに、裁判を簡素化して、ダメージの大きな金額の罰金刑(数千万円単位とか)を即座に課す、などという大胆な改正も必要かもしれない。こんな連中のために税金を使って延々と裁判をやっているのは馬鹿馬鹿しい。

怨恨殺人などと違って、この手の犯罪は「儲かる」から起きる。儲からなければ起きない。
詐欺犯罪に対する罰則が軽ければ、「ビジネス論理」として、詐欺犯罪は決してなくならない。「詐欺は儲からない」世の中になっていないから、この手の犯罪が増える。

無論、誰も相手にしなければ、コストが回収できず、自然消滅するというのも「ビジネスの論理」なのだが、現実には騙される人が後を絶たない。
被害を減らす広報活動は今以上に進めるとしても、まずは「詐欺をしても儲からない」という現実を築くことが必須ではないのか。
ねずみ取りなんかに人員を導入しているより、まずはこれだけ増えてしまった詐欺犯罪の摘発徹底と、再発させないだけの罰則強化を早急に検討すべきだろう。



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