たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2005年3月25日執筆  2005年3月29日掲載

愛知万博は軽い集団マゾか


「愛・地球博」というイベントが愛知県でスタートした。
正式名称は「2005年日本国際博覧会」というらしい。
聞くところによると、目玉はマンモスと金の鯱とロボットショーらしい。で、テーマが「自然の叡智」。
今さらながらだが、このイベントを積極的に評価している日本人は少ないのではないか。バブルの最中に開催誘致が決まり、その後、自然豊かな土地を大規模造成することに対しての猛反対にあい、それに迎合するかのようにテーマも変わった。

恥ずかしい、意味がない、万博なんて時代に合っていない、などなどのマイナス評価がすっかり定着した感があるが、それでも結構な数の人間が愛知をめざすようだ。
中には「どの程度の破壊ですんだのか、この目で確かめてくる」などと、うがった動機、あるいはちょっと苦しい言い訳を用意して行く人もいる。
WEB上での発言をざっと見ていていちばん印象に残ったのは、
「海上の森がどんなにすばらしかったか(過去)、どの程度の破壊ですんだか(現在)、今後保全されうるか(未来)」がテーマではないか、という意見。まったく同感だ。

「あいちきゅうはく」と入力して変換すると、「愛知急迫」「愛知窮迫」などと変換されることをもとに、揶揄する人もいる。しかし、窮迫するのは愛知県だけではないだろう。
僕はこのイベントは「言い訳万博」であると思っている。
開催するためにいろいろな言い訳を考え出し、恥ずかしげもなく実行した。ゆるキャラ(自治体や企業などが作る、ダサダサでゆる~いキャラクター)、ゆる愛称、環境を重視してますというポーズに必ず使われる太陽光発電、風力発電、電気自動車などの言い訳セット。見事なほどすべて揃っている。
言い訳でうめつくすくらいなら、いっそ最初から開き直って「科学万能主義万博」「経済振興(信仰)万博」とでもすれば潔かった。
経済おじさんたちが執念で実行に移した復古趣味イベント。

イベント自体が言い訳で埋め尽くされ、それを分かった上で、人が集まるところに行きたい、お祭りは見逃せない、何時間並んでもロボットショーやマンモスを見たいという人たち。日本人って、どこかマゾ気質があるのではないかしら。

僕自身は、始まってしまったこのイベント自体にはもはや興味はあまりない。しかし、イベントが終わった後には大いに興味がある。
主催者(実体はどこ?)には、このイベントの総括をぜひともやってもらいたい。環境をテーマにしたというのであれば、総括なくしてはイベントは終われないはずだ。
どれだけの金とエネルギーが注ぎ込まれ、どれだけの環境負荷があって、その結果、どれだけの成果があったのか。その「成果」とはなんなのか。
例によって経済効果だのなんだのという成果であれば、テーマはどうでもよかったわけである。

集まった観客たちにも、ぜひアンケートしてみたい。
「この万博は、あなたにとって地球環境問題をより深く考えるきっかけとなりましたか?」
きっかけとなった、と答える人はたくさんいるかもしれない。
「いつまでこんなことしているんだ、人間は」という、反面教師的な意味で。

●3月の雪(オブジェ製作・林家しん平)

(c) Takuki Y. http://takuki.com

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