たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2006年7月21日執筆  2006年7月25日掲載

本絞りの教え

缶チューハイというジャンルの商品がある。
どのメーカーも、名前やパッケージデザインに凝っていて、コンビニの冷蔵庫などで見ると、ついつい1つカゴに入れてしまう。
飲むと甘ったるいだけで、一缶飲みきるのが辛くなる。もう買わないぞ、と思うのに、店で見かけると、いかにもさわやかな喉越しを思わせるネーミングとデザインに騙され、ついまた買ってしまう。

これの繰り返しだったのだが、最近、事情が一変した。
メルシャンが「本絞り」という商品を出してからのことだ。
この商品、商品名もパッケージデザインもおいしそうに思えない。特に、デザインは、もっとなんとかならなかったのかと思う。
ところが、飲んでみると……!!
明らかに他の缶チューハイとは違うのである。
舌にからみつくような嫌な甘さがない。変な匂いもない。さわやか〜に飲み干せる。

キャッチフレーズは「自分で絞ったあの味わい」という。
香料、着色料、糖類無添加。ウォッカと果汁のみで作っているらしい。
ウォッカを使っていて缶チューハイというのも変な話だが、まあ、うまければなんでもいい。
本絞りが出てきて、今までの「缶チューハイ」商品群が、いかにいかがわしいものだったのかが確信できた。学習するのがちょっと遅すぎるけどね。

本絞りは特に何かものすごいことをしたわけではなさそうだ。ごくごくあたりまえに果汁とウォッカを混ぜただけ。
本物の果汁だけを使って果汁の味を出すためには、当然、ある程度の量が必要だ。それをやると、おそらくコストがかかる。だから、従来の缶チューハイでは、本物の果汁は申しわけ程度で、甘味料や香料でごまかしていた。不必要な着色料も入れていた。だから、一口目から、いや〜な甘みや匂いがまとわりついてくる。
本絞りはそれをやめて、普通に作ってみただけのこと。

広告でどんなにおいしそうに見せても、缶のデザインでどんなにさわやかそうに見せても、飲んでみれば○か×かは歴然と分かる。
周囲の人に「本絞りは違う」と言ったら、みんな実際に飲んでみて「ほんとだ! 感動した」と同調してきた。やはり僕だけの思い込みではないのだ。

もう、どんなにおいしそうな名前やデザインの商品を見てもごまかされないぞ、と、決意を新たにしてコンビニの冷蔵庫前に足を運んだら、なんと、本絞りのところだけが1列すっかり商品が切れてしまっていた。普通サイズの缶は売り切れ。ロング缶のところに残っていた最後の1本を僕が買ったら、そこも1列、ぽっかりと空きができた。
みんな学習しているのね。

難しいことではない。ごまかさず、普通のことをすればいいだけ。
そんなあたりまえのことを、この商品で改めて学習しなければならない現代人。なんか変ですね。

さて、本絞りの登場で、この商品ジャンルは今後変化を見せるのだろうか?
他社がみんな「普通の作り方」で缶チューハイを作るようになるならいいのだけれど。
そういえば、昔「ジュースの素」という粉末がよく売れていた。今は100%果汁が2リットル100円そこそこで売られている。「ジュースの素」という商品を見ることはない。
あれと同じように「そういえば、ちょっと前まで、糖類や香料入りの缶チューハイがいっぱい売られていたよね」なんて懐かしがる時がやってくるのかもしれない。

しかし、ここまで書くと、なんかメルシャンから金もらって書いてるんじゃないかと疑われそうである。違いますよ。
本当はね、「普通のことをすればいい」のだから、生のレモンやグレープフルーツを買ってきて、自分で絞ってチューハイを作ればいいだけの話なのである。
「自分で絞ったあの味わい」を楽しむには、自分で絞ればいい。簡単な話。
それさえ面倒だから、缶チューハイという商品に手を出す。
缶チューハイの品評を本気でやっていること自体が、まあ、とっても恥ずかしいことではあるわね。



ダム工事現場
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