たくき よしみつ の デジタルストレスキング デジタルストレス王

2003年8月16日執筆  2003年8月19掲載

夏休み

今年の日本の夏はかなり変だ。毎年、8月は新潟(魚沼地方)に滞在しているのだが、ここ数日、寒くて長袖を着る日もあった。
関東ではもっとひどくて、お盆休みには大雨で被害も出たらしい。
フランスのように猛暑で人が何千人も死ぬよりはずっといいのかもしれないが、世界中で気候が狂ってきているようで、なんだか恐ろしい。

と言いながらも、それなりに夏休みモードの日々を過ごしている。
越後の狛犬はかなり見尽くしたし、傾向も分かってしまったので、今年はちょっと狛犬探訪はお休み。
越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ2003 大地の芸術祭というのをやっているので、これからぼちぼち見て回ろうと思っているところだ。先日、松代町を初めて訪れたのだが、雨なのに駅前は人でごった返していた。NHKのBSで『お~いニッポン 今日はとことん新潟県』がちょうど放送された後だったからかもしれない。

トリエンナーレとは3年ごとの祝祭という意味で、第1回は2000年にやっており、今年は第2回だそうだ。
いわゆる「町おこし」の類なのだろうが、結構頑張っていると思う。参加アーティスト23か国157組、期間中のイベント総数135という規模は、ただの思いつきでは実現しない。中には「かえって自然を汚しているのでは?」と思えるような作品や、学園祭の展示品レベルのものもあるが、ほおお~~と感心するものもある。
「自然と共存」とよく言うが、本当はこんなに難しいことはない。国の重要文化財になっているような神社仏閣だって、見方を変えれば自然破壊なのだから。
しかし、人間はそういう生き物なのだ。文化はもともと自然と対立する概念だし。
まあ、理屈はともかく、なにより、新潟県の中でもあまり知られていない山間部(津南町、中里村、十日町市、川西町、高柳町、松代町、松之山町の7市町村を「妻有郷」と呼んでいる)を、いろいろな意味で見直すいいチャンスになるだろう。

夏を越後で過ごすようになって10年以上になる。安い土地と家を探していたら、見つけた物件が豪雪地帯だった、というのが始まりで、最初は特に思い入れはなかったのだが、だんだんこの土地が好きになってきた。
食べ物が安くてうまい。人々の性格が穏やかで、つき合いやすい。
ブヨとムカデさえいなければ天国だ。
あと、欲を言えば、ヘビさんはいてもいいけど、家の中には入ってこないでほしい。

毎日デジタル漬けの日々なので、ここにきて土や形のある道具(デジタルではなくアナログ)と触れることがストレス解消になっている。鋸や玄翁の使い方はかなりうまくなった。
「すぐにつぶすと思っていた」というこの家の売り主さんの予想を裏切り、毎年少しずつ手を入れ、今では老後をここで全うすることを真剣に考えている。

というわけで今週は夏休みモード。これを送信したら、松代町を再訪しよう。
牛太郎の家
●ドライブの途中で見つけた「牛太郎の家」
写真を撮っていたら、中からモ~~という声がした。
ここに住んでいるのは人なのか牛なのか?
(c) Takuki Y. http://takuki.com



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