愛まで2cm


 85年に学研のBOMB! MOMOCOという2雑誌共同で、『パンツの穴アニメビデオ』という仕事をやった。『パンツの穴』というのは、読者が自分の恥ずかしい体験を投稿するという人気コーナーで、菊池桃子主演で映画化までされた。今度はアニメビデオにしようというわけ。
 で、声優・歌手部門、アニメキャラクター部門、脚本部門の3部門に分けて、読者からの一般投稿を募った。優秀者は歌手(声優)デビューやキャラクター(原作)採用の道が開けている……という触れ込み。
 すべての部門で、実質上は僕が一人で選考をした。
 西村千亜紀ちゃんは声優・歌手部門に応募してきた高校2年生。他にも優秀な子供たちがたくさん応募してきた。
   でも、この手の企画の常で、結局は芸能事務所主導型で売り出すアイドルは決まっている。一般公募の子たちはほとんど蚊帳の外だった。それではあんまりじゃないかと訴え、レコード会社や芸能事務所主導型で突き進んだレコード化とは別に、ほとんど僕一人でカセット版を作らせてもらった。これに声優・歌手部門の応募者たちを呼び集めてカセット版『パンツの穴』を作ったわけだ。
 千亜紀ちゃんには2曲歌ってもらった。その後、プロジェクトが終わってからも、なんとか彼女をデビューさせられないかと個人的にいろいろ画策したが駄目だった。
 そのときに自宅で録音したデモテープのうち、使えそうなものを4曲ピックアップ。
 『愛まで2cm』は、間奏のギターなどを入れ直してぐっと豪華に化粧直しした。
 
 千亜紀ちゃんは数年前に結婚し、名前も西村ではなくなっている。子供も産まれたんだっけかな。年賀状が来ていた気がしたんだけれど、見つからない。このCDを送ったら驚くことだろう。

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