たくき よしみつ の 鐸木能光のデジカメ・ガバサク談義 デジタルストレス王

デジタルカメラの重要な性能・撮像素子面積

撮像素子の大きさは性能と価格に直結

(2012/09/24 更新)
デジタルカメラの撮像素子(CCDやCMOS。銀塩カメラのフィルムに相当する部品)は、1枚の大きな基盤から豆腐のように1枚1枚切り出して使います。ですから、撮像素子の面積はそのままカメラの価格に直結します。
大きな撮像素子なら1画素あたりの受光量も余裕があり、写真の画質も上がります。小さな撮像素子に無理矢理たくさんの画素を詰め込めば、1画素あたりの受光量は減り、どうしても無理が出ます。カメラメーカーはこのことをなかなか公表せず、画素数の多さばかり謳いますが、画素数より大切な要素が「撮像素子面積」、さらにいえば「1画素あたりの面積」です。
例えば、現在多くのコンパクトデジカメに採用されている1/2.3型という撮像素子は約6.2mm×4.6mmですが、これは35mmフィルム1コマ(36mm×24mm)の1/30の面積です。そこに1000万〜1600万画素を詰め込んでいます。
35mmフィルム1コマと同じ面積を持つ撮像素子を持つデジカメは「フルサイズモデル」と呼ばれ、高価です。
ちなみに、ニコンの最初のフルサイズ機D3は1200万画素でした。1/2.3型の30倍の面積を持つフルサイズ撮像素子にコンパクトデジカメより少ない1200万画素です。1/2.3型に1600万画素を詰め込んだコンパクト機と比較すれば、1画素あたりの面積は実に42倍になります。
D3は製造終了しましたが、ニコンの現在のフラッグシップモデルであるD4も、画素数は約1600万画素に抑えています。これでも、1/2.3型の1600万画素に比べれば、1画素あたりの面積は30倍です。
1画素あたりの面積が大きくなれば、それだけ受光量が増え、1画素が受け取れる情報量が増えます。
フィルムカメラにおいても、フィルム1コマあたりの面積が大きければ受け取る光の情報量が増え、画質は上がります。プロが「大判」や「中判」と呼ばれる大型のカメラを使っていたのはそうした理由からです。
撮像素子(CCDやCMOS)もまったく同じです。小さな撮像素子で受けたわずかな光を1000万分の1とか1600万分の1に割って情報を得ることには無理があります。

撮像素子の大きさ比較

青い枠が35mmフィルム1コマ(フルサイズ)の大きさ。緑色の枠が当該撮像素子の大きさです


撮像素子種類面積比較サイズ(mm)搭載機種例解説
中判44×33mmセンサー44×3335mmフィルム1コマを超える大きさ。ペンタックス645Dペンタックスはついにフルサイズを超える「中判」サイズの撮像素子を持つデジカメを発表した。ボディの価格は2012年秋時点で60万円台。
フルサイズフルサイズ36×24ニコンFXフォーマット機(D4、D800、D600)、キヤノン EOS-1D、5D、6D、ソニー α99 など35mmフィルム1コマの面積に等しいサイズの撮像素子をもつデジカメを「フルサイズモデル」と呼ぶが、高価。ボディも大きくならざるをえない。ソニーが出したレンズ(35mm/F2)一体型の高級機RX1はフルサイズCMOSを搭載したことで話題に。
APS-C23×15前後
ほとんどの従来型「デジイチ」。レンズ交換式ミラーレス小型機ではフジフィルムのX-Pro1やソニーのNEXシリーズ。キヤノンのEOS M。レンズ一体型ではフジフィルムのX100など。 APS-Cの規格は本来23.4×16.7mmだが、実際にはAPS-Cサイズと呼ばれている撮像素子の面積はまちまち。EOS Kiss X50は約22.0×14.7mm。レンズ一体型のフジフィルムX100は23.6×15.8mm。同じメーカーでもモデルによって違ったりする。シグマでは20.7×13.8というモデルもあった。そのため、見かけの画角も約1.5倍〜1.6倍と微妙に違ってくる。また、レンズの設計も曖昧にならざるをえない。
フォーサーズフォーサーズ17.3×13.0OlympusとPanasonicのレンズ交換式モデル。LUMIX GF5などオリンパスが提唱したデジカメ一眼の規格。パナソニックも参加。その後、ミラーレスでボディとレンズの小型化を図ったマイクロフォーサーズが出て、今はそちらに力を入れている。撮像素子面積は同じ。フォーサーズ用レンズはAPS-Cサイズ用レンズよりさらに焦点距離が短くなるため、背景をぼかすには不利。
1型
(CXフォーマット)
13.2×8.8ニコンのミラーレス機 Nikon1シリーズ。ソニーのレンズ一体型コンパクト機 RX100など。フォーサーズよりさらに小さいが、一般のコンパクト機の撮像素子よりはかなり大きい。
2/3型8.8×6.6フジフィルム X20、X10、XF1、X-S1などかつて、このサイズのCCDは中型レンズ一体型カメラによく使われていた。ソニーのF707、727、828、コニカミノルタ A200などなど、名機が多かった。おそらく最後の2/3型CCD採用モデルはフジフィルムのFinePix S100FSで、これが製造終了して2/3型CCDは消えたと思ったが、最近、FinePix S100FSの後継機とも言えるフジのX-S1という超弩級レンズ一体型カメラに2/3型CMOSが搭載された。XF1、X100といったコンパクト機にも同じものが採用されている。画素数を欲張らなければ、1画素あたりの面積は1/1.7型を採用している高級コンパクト機より大きくできる。X-S1では、面積が小さいのを逆手にとり、24-624mm相当というとんでもない超ズーム比のレンズを組み込めている。
1/1.7型7.6×5.7Lumix DMC-LX7、ニコン P330,リコーGR DIGITAL IVなどコンパクト機のほとんどが1/2.3型だから、それに比べるとかなり大きいが、画素数を欲張るとたちまち破綻するサイズ。かつてはこの1つ上に1/1.63型CCD(Lumix LX3、LX5など)。この下に1/1.8型CCD(Lumix DMC-FZ30など)、1/2型CCD(Olympus C2040ZOOMなど)などもあった。1/2型CCD時代はまだ200万画素がせいぜいだったので、1画素あたりの面積はそこそこ保てていたため、今の低価格コンパクト機よりきれいな画質で撮れるものもあった。
1/2.3型6.2×4.6現在の小型機の主流。パナソニックの大型機FZ200など最初の1/2.3型(1/2.33型)CCDはシャープが開発し、2008年の新モデルのほとんどに採用された。対角7.7mmのCCDに1000万画素を詰め込んでいた。その後、同一サイズで1300万画素、1600万画素と増やしていき、現在はCCDではなくCMOSが主流。かつてはこの下に1/2.5型(5.7×4.3mm)という小さなCCDもあって2002〜2004年くらいの主流だったが、当時はまだ500万画素時代だったので1画素あたりの受光量は今のモデルよりあった。

こうして実寸比を図で見ると、撮像素子の大きさがいかに違うものかが一目瞭然です。
2012年現在、コンパクトデジカメによく使われている1/2.3型CMOSは、35mmフィルム1コマに対して3%強の面積しかありません。つまり、フルサイズデジタル一眼の撮像素子に比べると、1/30の面積に画像を記録しているわけです。
それなのに、画素数はフルサイズ機並み、あるいはそれ以上! こんなバカげた設計はありません。

撮像素子を自社で開発していないデジカメメーカーもたくさんあります。しかも、今はケータイ内蔵カメラ用のCMOSの製造数が多く、安くOEMで部品供給されるため、低価格のコンパクト機ではそうしたCMOSを使うことになり、メーカーの技術者が理想とするカメラが作れないという事情もあるようです。

撮像素子面積は大きければ画質の点で有利ですが、組み合わせるレンズも大きくなるために、小型化が難しくなります。また、重要なのはそこに詰め込む画素数との「比率」です。
例えば、フルサイズ撮像素子の面積は36×24=864平方ミリです。ソニーのフルサイズ機α99は総画素数2470万画素といっていますので、割り算をすると、約0.000035です。
同じフルサイズ機でも、ニコンが最初に出したD3は約1210万画素といっていましたから、同じ計算をすると、約0.0000714で、1画素あたり倍の面積になります。
同じニコンのコンパクトデジカメで、現在最上位機種のS9300は、1/2.3型で1679万画素といっていますから、6.2×4.6(平方ミリ)÷1679万(画素)で、約0.0000017となり、ニコンD3と比べると714:17、実に42倍もの大きさの違いがあるわけです。
以下、上の一覧で紹介した代表的面積の撮像素子を採用したモデルの、「1画素あたりの面積」を比較してみます。数値は平方マイクロメートルです。

機種別、1画素あたりの面積比較

撮像素子種類1画素あたり面積搭載機種解説
44×33mmセンサー
中判

44×33

約36
ペンタックス645D
4001万画素
確かに撮像素子面積は大きいのだが、4000万画素という欲張った画素数を詰め込んだために、1画素あたりの面積は一般的なフルサイズ機よりもむしろ小さい。見た目の「画質」よりも、超高解像度が必要な特殊な仕事(大判ポスター、学術用途、調査用途、天体の撮影など)のためのカメラと考えたほうがいい。一般に「美しい写真」「感動的な写真」を撮りたいという人が必要とするカメラとは思えない。
フルサイズ
フルサイズ

36×24

約52
ニコン D4
1660万画素
撮像素子面積は「中判」のペンタックス645Dより小さいが、画素数を抑えているので1画素あたりの面積は645Dよりもずっと広いことに注目。実際の「見た目画質」においては、解像感、階調の深さ、奥行き感など、あらゆる点で優れた写真が期待できる。しかし、当然のことながらそれを生かせる高性能なレンズと撮影技術があってこその道具。

APS-C

22.3×14.9

約18.46
キヤノン EOS M
1800万画素
APS-Cサイズと呼ばれているカメラの撮像素子面積はばらばらだが、ここでは「ネオ一眼」「ミラーレス」などと呼ばれているレンズ交換式小型カメラを代表してもらい、EOS Mを取り上げた。フルサイズの約半分の撮像素子面積だが、ニコンD4の1600万画素より多い1800万画素を詰め込んでいるため、1画素あたりの面積はD4の半分以下(約36%)である。
APS-Cサイズ専用のレンズは数も多く、価格もこなれているが、各社マウントが違い、同じレンズにマウントだけを付け替えている製品がほとんどなので、撮像素子面積の違いに合わせた厳密な設計ができないという弱点を抱えている。
フォーサーズ
(マイクロ)
フォーサーズ

17.3×13.0

約13
オリンパスペン E-PL5
1720万画素
オリンパスが提唱したデジカメ一眼の規格「フォーサーズ」は、それなりによくできた規格で、カメラの性能もよかったが、価格の点などからそれほど売れず、商業的には成功したとは言えなかった。今は同じ撮像素子規格でボディをミラーレスにした「マイクロフォーサーズ」に力を入れていて、今後はマイクロフォーサーズ中心の商品開発になっていくだろう。
ここではオリンパスペンを取り上げたが、1720万画素を詰め込んだために、1画素あたりの面積はEOS Mよりさらに小さい。

1型
(CXフォーマット)

13.2×8.8

約11
Nikon1 J2
1050万画素
撮像素子面積はフォーサーズよりさらに小さいが、一般のコンパクト機の撮像素子よりはかなり大きい。ボディの小型化を主眼とするなら、このくらいの面積が理にかなっているとも思える。画素数を約1000万画素に押さえ込んだのも理性的。後発だけあって、規格そのものはリーズナブルといえるが、問題はレンズ群の魅力をどこまで延ばせるかだろう。暗くて高価なレンズなら魅力がないし、撮影スタイルも中途半端なものになってしまう。これは他のレンズ交換式小型カメラにも共通して言える問題。

1型

13.2×8.8

約5.58
RX100 SONY DSC-RX100
2090万画素
同じ1型センサーでも、ヒット商品となったソニーのRX100は2000万画素を入れ込んだために、1画素あたりの面積はNikon1の約半分にまで小さくなっている。これは非常に残念なことで、RX100が1000万画素に抑えていれば、ライバル機を圧倒する画質を誇れたのではないだろうか。どう考えても一般の利用方法で2000万画素などいらない。1枚あたりのデータ量が大きくなりすぎて、データの保管も大変だし、編集作業でも処理時間がとられる。1000万画素1型CMOSを搭載した「RX10」が出ないものだろうか……。

2/3型

8.8×6.6

約4.84
フジフィルム X-S1
1200万画素
おそらく2/3型撮像素子を搭載したカメラは、現行機ではこのX-S1くらいだろう。このカメラのコンセプトは「超広角〜超望遠までを1本の明るいズームレンズでカバーする万能機」というもの。他の長大ズームカメラの多くが1/2.3型を採用している中で、頑張って2/3型、しかも新設計撮像素子を採用した真面目さは高く評価できる。多くの人にとって、レンズ交換などで苦労するレンズ交換式一眼を買うより、このカメラを使ったほうがずっと幸せになれるだろうし、撮影機会も劇的に増やせるはず。
しかし、レンズが超望遠なのだから、後でトリミングして拡大する必要はないわけで、まったくの新設計CMOSなら、いっそこの半分の600万画素でもよかったと思う。せめて800万画素あたりに抑えておけばいいものを、やはり1000万画素を切る画素数にすると売れないと思ったのだろうか。意外と逆だと思うのだが……。
結果、1画素あたりの面積は、フルサイズ一眼のおよそ10分の1、レンズ交換式小型カメラのおよそ3分の1。それでも、コンパクト高級機の代表格であり、ガバサク流でも一推ししているLX7に比べると1画素あたりの面積は2倍弱(約1.9倍)あるので、画質の点でもコンパクト機よりはずっと有利。1型センサー搭載のRX100には少しだけ負けるが、かなり近い数値であり、むしろ画素数が2000万もあるRX100は編集や保存・保管・整理が面倒になることを考えると、なかなかおいしいバランスを狙ってきたと言える。

1/1.7型

7.6×5.7

約2.58
Lumix DMC-LX7
1280万画素
ガバサクがお勧めし続けているパナソニックのLXシリーズの最新鋭モデル。撮像素子が今までの1/1.63型CCDから、新設計の1/1.7型CMOSに変わった。CCDのしっかりした画質に安心感があったLXだけに、この新型CMOSセンサーの画質がかなり気になるところ。
LX3からLX5のリニューアルでは、画質の差はほとんど見られなかった。それだけLX3の完成度が高かったということだろう(特にファームウェアのアップデート後の煮詰めが素晴らしかった)。
LX7は、撮像素子面積を大きくしなかった代わりに、レンズをF1.4-2.3という驚異的に明るいものに変更した。これもすごいことで、デジカメ史上、これほど明るいレンズを組み込んだカメラはかつてなかったし、今もない。また、CMOSにしたことで高速連写性能は上がったし、LX3、LX5にない魅力がある。しかし、1画素あたりの面積という、ある意味「絶対的な性能基準」からいうと性能が上がったわけではない。1型センサーを搭載したRX100は2000万画素を欲張りながらも、1型センサーを搭載したことで1画素あたりの面積ではLX7に勝っている。LX7は出たばかりのモデルだが、次にLX8を出すとすれば、どうしても撮像素子面積の大型化という難問に取り組まなければならないような気がする。ただ、そうなるとF1.4-2.3は無理かもしれない。ジレンマを抱えながらの開発努力となるが、ぜひ期待したい。

1/2.3型

6.2×4.6

約1.7
ニコン Coolpix S9300
1679万画素
かつてのSONY U50 ほとんどのコンパクト機──凡百のモデルはこのレベルの撮像素子を採用している。1/2.3型で1600万画素など笑止千万。ましてやケータイ内蔵カメラの1000万画素超えはナンセンスの極致。いくら映像エンジンで工夫してきれいな写真に仕上げても、暗い室内や階調(コントラスト)が大きな写真(例えば深い緑の葉の中の真っ白な花びら)を撮るとノイズだらけになる。この手のモデルは最初から問題外。メーカーとしても「安くて儲からないし、どうせ素人が画素数の数字に騙されて買うようなモデルだから」と、力を入れていないことは明らか。このレベルのカメラを買うくらいなら、ケータイ内蔵カメラでよい。
しかし、1/2.3型で300万画素、500万画素くらいの撮像素子を作れたら、超小型の単焦点スイバルモデルをぜひ出してほしい。かつてのSONY U50(写真右上)のような。そういうものが出たらすぐに買いたい。ケータイよりも機動性があり、画質もよいメモ機として常にポケットに入れて持ち歩くことになるだろう。(ちなみにU50は200万画素だったが、それで困ることはまずなかった)

結論 ガバサク流お勧めの3台はこれ!


SONY Cybershot DSC-RX100お勧め


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