たくき よしみつ の 鐸木能光のデジカメ・ガバサク談義 デジタルストレス王

デジタル一眼を買う前に読む!(2017年編)

(2016/12/31 updated)

先に結論をいえば、ガバサク流が現在お勧めするレンズ交換式カメラはソニーα6000かNEX-6

以下の解説はかなり長いので、先に結論とその理由を述べます。


 
 

「デジタル一眼」という呼び方はもう古い

「デジイチ」「デジタル一眼」という呼び方は時代に合わなくなってきました。二眼カメラというものはもはや存在しませんから。「レンズ交換式カメラ」と呼ぶのが適当かと思います。

レンズ交換式カメラは、2つの分け方ができます。
光学式ファインダーを持つ従来型 と 光学式ファインダーをやめて電子式モニター(+電子ファインダー)にして小型化したもの(ミラーレス)という分類

撮像素子の大きさで分ける方法 (フルサイズ機、APS-Cサイズ、フォーサーズ、その他)

撮像素子の大きさによる分け方も、かつては、
  1. フルサイズ高級機……従来の35mmフィルム1コマと同じ面積の撮像素子を持ち、かつてのフィルムカメラのレンズも使える
  2. APS-Cサイズ普及機……撮像素子は35mmフィルムの約半分(APS-Cと呼ばれるサイズ)。従来の35mmフィルムカメラのレンズを装着可能なものもあるが、その場合、画像の周辺が切り取られるので見かけの画角が1.5倍程度になる
  3. フォーサーズ機……撮像素子の面積規格が曖昧なAPS-Cモデルに決別して、きっちりとした新規格を作り、専用レンズを使う。見かけの画角は約2倍になる
  4. ミラーレス小型機……光学式ファインダーを切り捨て、背面の液晶モニターのみ、またはファインダーを電子式にすることでボディの小型化を図った新規格のレンズ交換式カメラ。

という分け方でしたが、ミラーレス機もフルサイズ撮像素子を持つものが出てきましたし、電子式ファインダーの性能が上がってきて、プロ用の高級機もミラーレス化が一気に進みました。ソニー、フジフィルム、パナソニック、オリンパスの現行機種はすべてミラーレスです。
となると、上記の分類も少し実情にそぐわなくなってきた感があります。

2016年末時点で製造されているレンズ交換式カメラを撮像素子の大きさで分けると、


……ということになります。
そもそも、なぜレンズ一体型コンパクト機ではなくレンズ交換式カメラを使うのかといえば、最大の理由は「背景をぼかしたかっこいい写真を撮りたいから」だというのが私の考えです。こればかりは焦点距離の短い小型機では物理的に絶対無理だからです。
となれば、撮像素子がフォーサーズより小さいニコン1は無視してもいいと思いますし、ペンタックスのQシリーズに至ってはコンパクト機のために量産されている1/2.3型CMOSにレンズ交換式ボディを組み合わせるのは論外だと思います。

となると、結局はフルサイズかAPS-Cサイズかマイクロフォーサーズかという三択で、このうちフルサイズとAPS-Cでは、光学ファインダーを必要とするかどうか(レンズマウントの大きさにも関係)という選択になります。

レンズ交換式カメラを選ぶ上での基本的なポイント

●コンパクトさを重視するか重くても最上級画質を追求するか
フルサイズ機はミラーレスにしていくらボディを小型軽量化しても、合わせるレンズはかなり大きなものになります。ですから、ミラーレス(小型化)の恩恵を最大限に生かすなら、APS-Cモデルを勧めます。

●光学式ファインダーを持っているかどうか
キヤノン、ニコン、ペンタックスは光学式ファインダーを使った従来型の「一眼レフ」を中心に開発していますが、ソニーは光学ファインダーを捨ててミラーレスモデルのみになりました。
見たままがそのまま目に入る光学式ファインダーにこだわる人は多いですが、電子式ファインダーも性能が上がり、視力が弱ってきた熟年世代などはむしろピント合わせのときに対象物の縁を強調表示してくれる電子式ファインダーの恩恵のほうを選ぶ、という人もいるでしょう。
また、ファインダーを持たないモデル(裏面の液晶モニターのみ)も多いのですが、その場合はせめて角度可変モニターでないと、撮影時にしっかりモニターができないことが増えます。

●撮像素子のクオリティ
従来のフィルムカメラのフィルムに相当する電子部品が撮像素子(センサー)で、初期のデジカメはCCDというセンサーでしたが、現在はほとんどがCMOSです。
ソニー、キヤノン、パナソニックは撮像素子を自社開発・生産していますが、その他のメーカーは多くがOEM(外部から供給)です。
撮像素子の開発では、現在、ソニーが一人勝ち状態で、技術的にも頭抜けており、フジやニコンなども、自社では製造できず、自社で設計をしてソニーに製造してもらうというケースが増えているようです。

受光した光をどのように画像として記録するかというデジタル処理の部分(「映像エンジン」などと呼ばれるもの)の設計でカメラの性能は大きく違ってきますが、やはり大元のデータを受け取る撮像素子の性能や物理的特性は大きく影響します。性能の悪いセンサーで集めた光のデータをどう頑張って処理してもきれいな写真、自然な写真にはなりません。
CCD時代は、600万画素くらいがいちばん性能バランスが優れていたと思いますが、小型CCDでも1000万画素を超えるようになってから実質的な画質が落ちました。
そこからCMOSに切り替わっていくのですが、初期のCMOSではさらにひどい画質になっていました。
CMOSの性能が一気に向上したのはここ数年のことで、ソニー製CMOSでいえば、1600万画素CMOSを出したあたりで「性能的に世代が変わった」感があります。
ですから、CMOSになってからは、1200万画素CMOSのほうが1600万画素CMOSより汚い画質だ、という状況が一時的に生まれたようです。

もちろん、現在の最先端技術で低画素CMOSをきちんと設計してくれたら、それがいちばんいいに決まっているのですが、ソニーはそれをしてくれません。
ソニーの最上位機種α7sIIはフルサイズCMOSで1220万画素ですから、このクオリティでAPS-CサイズCMOSを作れば約520万画素になります。私は500万画素でもいいので、α7sと同等の広い画素ピッチを持つCMOSをソニーに作ってほしいのですが、作ってくれません。
α7IIの2430万画素フルサイズセンサーのクオリティでAPS-CサイズCMOSを作ると、1000万画素弱で、ちょうどいい感じになるのですが、これも作ってくれません。
作ってくれない(存在しない)以上、ない物ねだりをしていてもしょうがないので、存在する製品の中からよりマシなものを選ぶしかありません。

●レンズマウントの違い
レンズマウントの規格統一には各メーカー共に紆余曲折してきました。
ソニーのマウントは従来のAマウントとミラーレス機用に作った小口径のEマウントがありますが、現在はEマウントに合わせて全製品を開発しています。従来のAマウント用レンズをEマウントに取り付けるためのアダプターというものはありますが、その逆はできません。他にもマウントが違うといろいろな制約があります。

キヤノン、ニコン、ペンタックスはレンズマウントはフルサイズもAPS-Cも同じですが、マウントが同じでも、APS-C専用に作られたレンズはフルサイズにつけても周囲が欠けてしまうのでフルサイズの意味がなくなってしまいます。
フルサイズ機の性能を100%発揮するにはフルサイズ対応のレンズを使う必要があります。例えばキヤノンではEF-Sというレンズ(Sがつく)はAPS-Cサイズ専用です。
マウントの違いは選べるレンズの豊富さに直結します。キヤノン、ニコン、ペンタックスのマウント用にはシグマ、タムロン、トキナーなどからも製品がかなり出ているので、安価なレンズも選択肢に入れられます。
ソニーのEマウント用レンズも少しずつ増えてきました。

フジフィルムのXマウント用のレンズは性能的には魅力的ですが、価格がやや高めです。シグマ、タムロン、トキナーなどから出ていないことも、コスパのいいレンズを選べなくなっている理由です。

キヤノンのMシリーズミラーレス機専用のEF-Mマウントレンズは数が極端に少なく、明るいレンズがほとんどありません。レンズマウントアダプターをつけるとフルサイズ用のレンズがつきますが、それだとせっかく小型化したボディの意味が薄れてアンバランスなことになります。
マイクロフォーサーズ用レンズも少ないですし、そもそもマイクロフォーサーズと心中するつもりでないと、今から新たに買うのはどうなのかな、と逡巡してしまいます。

マイクロフォーサーズの弱点

オリンパスが提唱したフォーサーズ規格はすでに消滅し、現在はミラーレスで小口径マウントのマイクロフォーサーズだけが生き残っています。
オリンパスとパナソニックだけがこの規格を採用しているわけですが、このままではあと10年続けられるのかと心配する声があちこちで上がっています。
マイクロフォーサーズの撮像素子面積はフルサイズの26%しかありません。APS-Cに比べても60%です。それだけレンズの焦点距離が短くなり、背景がぼけにくくなります。
センサーが小さいので安いかというとそうでもなくて、価格も高めです。レンズ資産が多いAPS-Cに比べるとマイクロフォーサーズレンズは製造メーカーも限られています。性能にはそれなりに定評がありますが、すでに使っている人は別として、初めて買うレンズ交換式カメラがマイクロフォーサーズというのは、どうにも必然性がない気がします。

ただし、明るい単焦点レンズとのセットが激安で出ているといった場合は検討してもいいでしょう。また、オリンパスペンシリーズなどは商品の質感や「もの」としての魅力があり、風景写真中心の高級なお散歩カメラとして使えば楽しいし、いい写真も撮れるはずです。

フルサイズ機 メーカー別の特徴と注意点

2017年時点でフルサイズ機を出している日本のメーカーはキヤノン、ニコン、ソニー、ペンタックスです。

ソニーにするならα7s
ソニーのフルサイズ機では、α7sがいちばん魅力的です。フルサイズCMOSに1220万画素。画素ピッチの大きさではおそらく現在トップでしょう。光学式ファインダーにこだわらないのなら、そしてボディに20万円出せるなら、これを勧めます。

ニコンとキヤノンは「プロの事情」で選ぶ
ニコンとキヤノンは、なんといってもカメラ専業メーカーとしての歴史があり、フルサイズモデルに大きな力を入れています。
フィルム時代からのレンズ資産も豊富で、それらのレンズを使えるというのも大きな魅力です。
ちなみにニコンのプロ仕様モデルD4Sは1623万画素、キヤノンの最上位モデルEOS-1D X Mark IIは2020万画素で、どちらもCMOSセンサーは気合いの入った自社開発。プロ仕様機種は実質2000万画素以下に抑えていることは覚えておいてください。一流のプロもメーカー開発陣も、画素数より画素ピッチの大きさのほうが重要だと知っているのです。
ニコンよりも高画素追求の傾向があるキヤノンでさえ⇒こうした説明のページを作っています。

ペンタックスを選ぶ意味が見つからない
ペンタックスはK-1でフルサイズ機メーカーの仲間入りをしましたが、撮像素子は他社(ソニー)任せです。3600万画素センサーを採用した時点でガッカリです。
ソニー製のフルサイズCMOSは、現時点(2016年1月)で、α7sの約1200万画素、α7の約2400万画素、α7Rの約3600万画素、α7RIIの約4200万画素とありますが、ペンタックスK-1には最高画素数の1つお下がりの3600万画素を提供するよ、ということなのでしょう。α7sの1200万画素CMOSと同等のものを使ってペンタックスが本気で作れば世界最高レベルのデジイチとなりえたでしょうが……。
ペンタックスの最大の魅力は「安くてもデジイチが使える」ことでした。しかし、それでは企業として存続できないと判断したのでしょう。大判デジカメやK-1のようなプロ仕様カメラに生き残りの道をかけているようで、APS-Cモデルについては新製品開発の意欲が感じられません。また、ペンタックスの従来モデルの弱点は液晶モニターが動かない(角度可変式ではない)ことで、いろいろな意味で妥協の選択になる感じがします。
ペンタックスのKマウントレンズをすでにたくさん持っているなどの理由がない限り、新たに買う候補に入れるのは考えにくいでしょう。
「安くてもそれなりにいい写真が撮れるペンタックス」ファンだった私などは、寂しい限りです。
ただし、1600万画素のK-50とその前のK-30は中古であればボディを2万円前後で入手できる可能性があるので、価格第一で考えれば「あり」かもしれません。

価格と性能のバランスから選ぶとAPS-C

結局のところ、レンズ交換式カメラを楽しむのなら、APS-Cサイズがコストの面からも自由度からもリーズナブルだと思います。フルサイズモデルを使うのとAPS-Cサイズモデルを使うのとでは、かかる金がまったく違ってきます。
こうした欲張りだけどズボラでもある、ガバサク的な方針には、フルサイズ機よりも使いやすいカメラといえるでしょう。
もう少し詳しく説明すると、 といった理由があげられます。

絞り込んでいくとソニーになるか……

APS-Cモデルがフルサイズモデルより画素数が多いなどというのは洒落になりませんが、ソニーが作ってくれない以上仕方ありません。

私自身はソニーを使っています。ファインダーのないNEX-5Rとファインダー付きのα6000の2台を持っていますが、ファインダーはあったほうが圧倒的に撮りやすいので、NEXシリーズ(製造終了)であればNEX-6、α3桁であればα6000を勧めます。
NEXシリーズの1600万画素CMOSとα3桁シリーズの2400万画素CMOSでは、ほとんど画質に差が感じられませんでした。
ソニーが現時点での技術を投入して1000万画素以下のAPS-CサイズCMOSを作れば最強でしょうが、作らないでしょう。APS-Cの小型機でフルサイズプロ機と同等の画質が得られては困るとでも思っているのでしょうか。

私の場合、2000万画素以上必要な仕事というのはまずないのですが、もし2000万画素以上が必要な仕事があるとしたらどんなにコストがかかってもフルサイズ機を選ぶでしょう。
また、仕事として大きくて重いカメラとレンズを使わなければならないのであれば、中途半端なAPS-Cモデルではなく、最初からフルサイズモデルで道具を揃える覚悟を決めます。
なお、NEX-5Rとα6000の撮り比べリポートは⇒こちらこちらにあります。


NEX-5R 50mm、F2



α6000 50mm、F2

レンズがダメなら意味がない。これを持とう

どのメーカーのカメラを買うにしても、レンズはキットもののF3.5-5.6などというオチャラケズームは晴天の屋外用と割り切り、ちゃんとしたもの(明るい単焦点レンズ)を別に買いましょう。50mm/F1.4か1.8くらいの単焦点レンズが1つあると、背景をぼかしたいい感じの写真が撮れます。
ニコンもキヤノンもソニーもペンタックスも、純正だけでなく、タムロンやシグマから安価なレンズがいろいろ出ています。

ソニーのEマウントAPS-Cサイズ用レンズなら、50mm/F1.8をぜひ!


50mm/F1.8の固定焦点レンズ。価格が安いので大助かり。私はほとんどこれだけで撮っています。



50mm(35mm換算で75mm)だと使いづらい撮影では、このレンズも安くて助かります。30mmでF2.8。使いやすい標準レンズとしてつけっぱなしにしておいてもいいでしょう。ソニーのミラーレスを選ぶ理由の一つに、こうした安い固定焦点レンズが存在することがあります。




Eマウントの「ズボラレンズ」。27-300mm相当なので、レンズ交換が面倒な人にはとても助かる。とりあえずこれ1本つけておけばほとんどどんな状況でどんなものでも撮れるので。

フジのXマウントレンズ お勧めはこれ

明るい標準レンズ 35mm F1.4(FUJIFILM)

 ……53mm相当の明るい標準レンズ。これをつけておけば高い品質でいい写真が撮れます(これでダメなら腕が悪い)。

美の探求者用 56mm/F1.2(FUJIFILM)

 ……82mm相当なので被写体から結構離れないといけませんが、ある程度広い場所でのポートレート撮影にはF1.2という抜群の明るさと相まって威力を発揮します。カメラ本体より高いレンズですが、ほしいですね。(被写体を見つけるのも大変かもしれませんが……)

なお、ニコンやキヤノンのレンズをフジのXマウントに変換するアダプターというものも3000円くらいで売られています。

レンズのブランドって何?

シグマもタムロンもコシナも、大手カメラメーカーにレンズをOEM供給しています。ずっと前から、タムロンやコシナのレンズがカールツァイスやライカ、キヤノンなどのブランドになって売られてきました。ですから、同じスペックであれば、レンズのブランドにこだわらず、安いレンズを選ぶことに問題はありません。





結論 ガバサク流お勧めはこれ


SONY NEX-6
SonyのCMOSは1600万画素のこの世代から性能が向上した感がある。ファインダー付き。製造終了だが魅力的。現行機種ではα6000
 
   
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