たくき よしみつ の 鐸木能光のデジカメ・ガバサク談義 デジタルストレス王

画素数至上主義は正しいのか?

画素数だけで画質が決まるわけじゃない

高画素=高画質、という単純な図式があてはまらないのは、多くのデジカメ解説書で触れています。
まず、撮像素子(CCDやCMOS)の大きさが影響します。小さな撮像素子にたくさんの画素を詰め込んでも、1画素あたりの面積(画素ピッチ、などと呼びます)が小さくなりますから、1画素あたりがうける光の量が確保できません。
1画素をバケツにたとえれば、小さな部屋にたくさんバケツを敷き詰めるには、バケツが小さくなるわけですから、バケツ1つに入る水の量も少なくなり、たくさんの水が入ってくればすぐに溢れ出て隣のバケツの水と混じってしまいます。
デジタル写真では、このバケツにはそれぞれ固有の色や明るさを持った色水(カラー情報)が入るわけですから、溢れ出た色水は隣のバケツの色水と混じって、画像全体はどんどん濁っていくことになります。
濁った暗い点がたくさん集まっても高画質にはならないということは、誰でも理解できますね。
次にレンズの性能です。光が入ってくる入り口(窓)が小さかったり、くもっていたりしたら、その後ろにいくら高性能な撮像素子を置いてもきれいな画像は記録できません。
画質を決定する要素として、撮像素子面積とレンズ性能は決定的なものですが、どちらも性能を上げるにはコストがかかります。
各カメラメーカーは、この部分のコストを抑えて、電子回路の部分でなんとかきれいな画像にまとめあげる努力をしているわけです。レンズや撮像素子のコストは物理的に考えて低価格化できないのに対して、電子回路部分は技術革新でどんどん進歩しますし、安くできるからです。
下の画像は、うちにあるいくつかのデジカメで庭を撮ったものです。WEB用に、横幅400ピクセルにリサイズしていますが、色などはいじっていません。
ケータイカメラ F707 1024
au携帯 W31SA(サンヨー製) F3.2 元画像1280×960 SONY F707 1/250秒、F2.2 ISO:100 元画像1280×960
2040 Optio X
Olympus C2040Z 1/200秒 F1.8 ISO:100 元画像1600×1200 PENTAX Optio X 1/60秒 F2.6 ISO:80 元画像2560×1920
解像度の違いよりも、色味の違いがはっきりしていますね。これは色の味付けが違うというよりも、色や明るさの「階調」の差があるからです。
ディスプレイ上で見るよりも、印刷してみれば、クオリティの差はさらに歴然とします。
ディスプレイ上ではその差がよく分からないので、葉っぱ1枚をトリミングして抽出したものを並べてみました。
au携帯 W31SA(サンヨー製) F3.2 元画像1280×960 左の写真を補正
SONY F707 1/250秒、F2.2 ISO:100 元画像1280×960 左の写真を補正
同じ1280×980の解像度ですが、これだけ違います。この差は主に、レンズの性能と撮像素子の大きさから生まれています。
撮像素子が小さいと、1画素あたりの受容光量が減るので、いわゆる「白飛び」「黒つぶれ」が多くなります。ちょっと光が強いとすぐにオーバーフローして真っ白に飛んでしまうため、全体に階調が大雑把な画像になるわけです。そういう状況では、いくら画素数が多く(解像度が高く)ても意味がありません。むしろ、撮像素子面積に合わせて画素数を減らしたほうが、理論的にはきれいな写真になるはずです。
Olympus C2040Z 1/200秒 F1.8 ISO:100 元画像1600×1200 左の写真を補正
PENTAX Optio X 1/60秒 F2.6 ISO:80 元画像2560×1920 左の写真をリサイズ後補正
F707
SONY F707 1/100秒 F2.0 ISO:100 元画像2048×1536 左の写真をリサイズ後補正
こちらの比較では、2000年に発売されたC2040ZOOMの健闘ぶりが光ります。F1.8という明るいレンズのおかげで、シャッター速度も1/200秒が確保できています。暗い場所での撮影では、このシャッター速度の差がさらにものをいいます。
C2040は6年も前のカメラなので、日進月歩の電子回路部分の進化から見れば過去の遺物ですが、レンズというカメラにとって最も基本的な性能部分をケチらなかったため、室内での静物写真撮影などでは、今なお、現役の中級デジカメに匹敵する画質の写真が撮れます。
ちなみにこのカメラは200万画素(最高解像度1600×1200)ですが、私はこのカメラを使っていたとき、画素数のことで不満を覚えたことはありません。
このカメラのレンズユニットをそのまま使い、画素数を500万画素以下に抑えて、今の技術レベルで作り直せば、すばらしいカメラになることでしょう。しかし、どのカメラメーカーもそういうことをしません。小さな撮像素子にたくさんの画素を詰め込み、高画素を謳い、その一方でコストダウンのためにレンズの明るさを犠牲にしたニューモデルを発表し続けています。

画素数を落として撮っても画質はよくならない

例えば、1000万画素の撮像素子のカメラで、設定を500万画素に落として撮っても、1画素あたりの光量が増えるわけではありません。あくまでも撮像素子の1画素あたりが受ける光量は同じです。
同じ撮像素子で受け取った画像情報を、記録する際に500万画素に落として記録しているだけであり、1000万画素で撮って、後から画像ソフトで500万画素相当にリサンプリングしているのとほぼ同じことをカメラの内部で処理しているにすぎません。
ですから、同じ面積の撮像素子であれば、1000万画素の撮像素子で撮って500万画素に落とすより、最初から500万画素で設計された撮像素子で撮影したほうが有利なのです。
隣り合った画素を結びつけて、画素面積を広げるというアイデアもありますが、これは理論上、4画素を合わせて1画素として処理するという比較的単純な方法以外では、技術的に困難でしょう。1000万画素の撮像素子であれば、250万画素モードを作れば、技術的には可能でしょうし、実際、それに近いことは研究が進んでいるようです。
しかし、それよりは、最初から画素数を落として設計したほうが簡単・確実でしょう。
ただし、以前の500万画素CCDと今の1000万画素CCDでは技術レベルが大きく違っており、単純には比較できません。あくまでも、「今の技術レベルで」500万画素CCDを作ったら……という仮定です。しかし、現在、画素数を落とした新設計撮像素子はなかなか開発されません。残念です。

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