たくき よしみつ の たくき よしみつ(鐸木能光)のデジカメ・ガバサク談義 ガバサク

SONY NEX-5R の実写テスト (その3)

無理矢理拡大してどこまで通用するか?


NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSS
1/80秒、F4、ISO 640


NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS
上の写真を後でトリミングして拡大


XZ-10 
1/160秒、F2.4、ISO 160、-2/3補正、13.20 mm(74mm相当)
NEXの50mmに合わせてほぼ同じ画角で撮影



XZ-10
上の写真を後でトリミングして拡大
NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSSは、単焦点レンズですからそのまま撮れば画角約75mm相当の中望遠になります。もう少しズームアップしたい場合、その場でデジタルズーム機能で拡大するか、後でIrfanViewなどの画像ソフトでサクッとトリミングして拡大するかのいずれかになりますが、これはどの程度通用するものでしょうか?
曇天でかなり暗い庭(日蔭)での撮影で試してみました。XZ-10はそのまま光学ズームで130mm相当までいけるのですが、敢えて同じ条件にして、75mm相当で撮った後にトリミングして拡大してみました。
この比較ですと、単焦点レンズを使っているAPS-Cモデルに対して、敢えて不利な条件を呑んでいるXZ-10の健闘が光りますね。

色の抜けはどうか?

次に、これも難しい、空の色がどれだけきれいに写るかという比較を。
最初は、林の間に透けて見える空の青が林の緑にまぎれてしまわないかという実験。

NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS
1/60秒、F4、ISO 100、-2/3補正、21mm(31mm相当)


XZ-10
1/125秒、F2.5、ISO 100、-2/3補正、6.8mm(38mm相当)
どちらもISO100で撮れているので、ノイズなどは少ないはずですが、どうもNEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSSのほうは林の向こうの空の青味が出ていません。
ただ、よく見ると、XZ-10のほうは向こう側の空の青味が林の緑に混じってしまっているようにも見えます。
林の緑も、XZ-10のほうがきれいに出ていますが、遠近感がないノペッとした印象もあります。どちらがいいのか、好みで分かれるところかもしれません。

NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSS
1/160秒、F10、ISO 100


XZ-10
1/800秒、F6.3、ISO 100、11.10 mm(62 mm相当)


XZ-10 上の写真をIrfanViewでサクッと補整

青空がどのくらい抜けがよくきれいに写るかという比較。NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSSのほうがすっきりした絵になりますが、XZ-10もIrfanViewで一発補整をかけてやるとかなりいい感じになります。

ものの質感にはかなり差が出る


NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSS
1/80秒、F4、ISO 1000、-1/3補正


XZ-10
1/80秒、F2.3、ISO 200、12.10 mm(67 mm相当)


NEX-5R+SONY 50mm/F1.8 OSSでの写真をIrfanViewでトリミングと補整


XZ-10での写真をIrfanViewでトリミングと補整

クロームメッキリングの中に出てきた小さな花を撮影。リングの金属の質感、マッチ棒の先くらいの大きさの花の花びらの質感が伝わるか……という比較です。
こういうのはさすがに大きな撮像素子のカメラが圧勝します。

逆光、明暗差をどこまで克服できるか


NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS
1/60秒、F4、ISO 400、-2/3補正、16.00 mm(広角端=24 mm相当)


XZ-10
1/80秒、F1.8、ISO 100、-1/3補正、4.70 mm(広角端=26 mm相当)

逆光での撮影比較です。窓際に置いて撮りました。どちらも広角端で撮っています。
XZ-10ではこういうシーンでもお任せで撮ると開放F値にセットされているのが興味深いです。
XZ-10のほうがどうしても階調が浅くなるため、狛犬の表面がノペッとした感じになりますね。

次に、日がさしている縁側に出して撮ってみました。

NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS
1/60秒、F5、ISO 320、34.00 mm(51 mm相当)


XZ-10
1/125秒、F2.2、ISO 125、10.00 mm(56 mm相当)


NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS
上の写真をIrfanViewで補整

XZ-10
上の写真をIrfanViewで補整



NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS 上の写真をさらに明るく補正


NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS


XZ-10


NEX-5R+SONY 16-50mm/F3.5-5.6 OSS 上の写真を補整


XZ-10 上の写真を補整

どちらも白飛びはありませんでしたが、やはりNEXのほうが階調が深いために質感が伝わってきます。
しかし、XZ-10のほうも、IrfanViewで一発補整するだけでかなりいい感じに仕上がるので、健闘しているなあという印象です。

……というわけで、概ねどんなシーンでもNEXのほうが質感の高い写真になります。しかし、こうして比較してみると、1/2.3型CMOSコンパクト機のXZ-10が相当うまく作り込まれていることに感心させられます。
ソニーは映像エンジンの作り込みがまだ甘いところがあると思うのですね。紫色の再現ができないあたりとかが特に。マクロ撮影したときのAFの合わなさも、XZ-10に負けるというのはいかがなものか、と。
ファームウェアのバージョンアップでぜひもっと煮詰めてほしいところですが、ほとんど内容が変わらない後継機種を出してしまうあたりが、「売りっぱなしなんだろうなあ」と思えてしまうのですね。
そこへいくと、パナソニックのLXシリーズに対する責任感の強さ、作り込みのていねいさはすばらしい。
他のメーカーにも見習ってほしいものです。

現時点では、万能のコンパクト機としては、パナソニックのLX7か、もっと小さくしたければオリンパスのXZ-10を一推しします。コンパクト機ではどうしても撮れない、背景をぼかしたアート系写真や画質のクオリティにこだわる場合は、画素数がなるべく少ない一眼レフ。ミラーレスであればNEX-5R。これにSONY 50mm/F1.8 OSSを常用レンズのようにつけっぱなしにしておき、中望遠のボケ味などを生かした作風を極める……というスタイルがいいのではないかと思っています。

この続きは⇒「のぼみ〜日記」でどうぞ


目次へガバサク談義トップへ    ミラーレス機を考える    次のページへ次へ

『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社講談社現代新書) 『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社現代新書 カラー版 税込987円)
  be連載の『デジカメのキモ』で扱った写真をすべてカラーで使い、「デジカメ界の間違った常識・思いこみ・誤解」に切り込む。楽しい写真を眺め、ぐいぐい読める読み物として楽しみながら、読了後にはデジカメ撮影の腕が劇的に上がっているという、一粒で三度おいしい本。
発売初日にたちまち重版決定!    Go!Go!(立ち読み版はこちら)

Amazonで購入はこちら    bk1で買うbk1で買う    クロネコブックサービスで買う    紀伊國屋WEBで買う



comに代わる新世代ドメイン .COドメイン   ★タヌパック音楽館は、こちら
よい買い物は人生を変えることがある
★狛犬ネットは、こちら
  takuki.comのHOMEへ
(takuki.com のHOMEへ)