日記 01/06/06




今日の放哉


こんなの見つけた

 文字コードや字形のことをきちんと勉強するとかなり面白い。
 『テキストファイルとは何か?』(地人書館)を書くために、いろいろ勉強したのだが、要するに作家らが「書きたい文字が書けない」と言っている文字の大半は、83年のJIS漢字改訂作業で突如この世に出現したものだ。森鴎外の「鴎」は、偏が「区」ではなくて「區」であるべきだ……というようなもの。

パブリフォントをQXの印刷画面で表示  これらの文字を83JIS以前の正字体に戻した上で、「書けない」「出せない」と言われることの多いいくつかの文字を外字領域に割り付けた「DFパブリW5D」というフォントが無償で配布されている。
 電子文庫パブリ(講談社、光文社、文藝春秋など、文芸を出版している大手出版社8社が集まって作った電子本配布サイト http://www.paburi.com)からダウンロードできる。
 パソコンのディスプレイ上でも、出版されている文芸書と極力同じ書体、字形で文章を表示したいということから作られたものだ。
 このフォントは単独でインストールして普通に使うことができる。ただし、印刷出力に使うことは、配布元のダイナラブ・ジャパン株式会社が禁止している。

 第3条(使用方法)
お客様は、提供書体をハードディスク等の記憶媒体にインストールして使用することがでます。(原文ママ)
 第4条(使用制限)
お客様はコンテンツを表示装置に表示するためにのみ提供書体を使用することができます。
提供書体は紙に印刷するなど他のいかなる媒体に出力することも、コンテンツ以外のいかなるソフトウエアで利用することも許可されていません。
(フォントに同梱されているREADMEより)

 惜しい!
 左の画像は、QXエディタの印刷確認画面にこのフォントで表示させたところ。
 表示させるまではOKだが、ここで「OK」ボタンを押して、印刷したら規約違反となってしまう。
 せめて、「個人使用の範囲を超えて印刷することは許可されていません」くらいにしてもらえるとありがたいのだが……。
 あるいは、「印刷ライセンス」のようなものを別売していないのだろうか。これを使いたい人はいっぱいいるはずだ。
 ダイナラブのフォントは、PDFへの埋め込みでトラブルが起きることも多いのだが(漢字の線が交差する部分に小さな穴が空く)、このフォントはそういうこともない。(これも、印刷出力ではなく、Acrobatの画面上で拡大表示して確認。念のため)
 UNICODEが一般化すれば、おのずとこのフォントの使命も終わるだろうが、それまでは非常に貴重なものだ。ダイナラブには、ぜひ太っ腹な姿勢を見せてほしいものだ。著述に関わる多くの人が感謝するだろう。(もちろん、このフォントをディスプレイ表示に限り無償配布していることにも感謝しているが)

 さて、使用制限のことはさておき、この画像をご覧になれば分かるように、このフォントを使うと、「掴む」「冒涜」「醤油」……などは、普通に打ち込んでもこのように正字体で表示される。冒涜の「涜」の旁が、「賣」になっていないとは、漢字文化の冒涜だ! と憤っている人たちには、極めてありがたいフォントだ。
 また、外字エリアには、漢字以外にも様々な記号や絵文字が入っている。辞書登録しておけばすぐに打ち出せる。このフォントを持っている人になら、テキストファイルを渡すだけで同じ字形表示が保証される。
 う〜〜ん、やっぱり印刷許可されれば、どんなにみんなが助かることか……。
 こういうのは、フリーソフトに甘えて育ってきた我々のわがままとは知りつつも、やはりおねだりしてしまいますよねぇ。

 ……と、ここまで書いて気づいた。あ、そうか。「紙に印刷するなど他のいかなる媒体に出力することも」ってことは、画像ファイルにすることも駄目なのか。画像ファイルが「媒体に出力」することなのかどうかは難しい判断だけれど……。
 ということで、一旦はアップしたこの画像もご覧の通り自粛モード。
 文字図形をサンプルとして表示することにもこれだけ気を遣わなければいけない現代って、やっぱり不幸な時代だ。

 ……と、修正してからさらに考えた。

 お客様はコンテンツを表示装置に表示するためにのみ提供書体を使用することがでます。(原文ママ)
提供書体は紙に印刷するなど他のいかなる媒体に出力することも、コンテンツ以外のいかなるソフトウエアで利用することも許可されていません。

 画像ファイルを作って人に見せるというのは「コンテンツを表示装置に表示するため」の使用だなあ。
 画像ファイルは質量も形もないものだから、「媒体に出力する」ことではないだろうなあ。
 きっとこれは、紙に印刷したり、Tシャツにプリントしたりすることを言っているんだろうなあ。
 ……ということで、恐らくこのページで、「DFパブリW5D」そのものを紹介するために画像表示することは、配布元が禁止している行為の範疇には入らないだろうという判断のもと、やはり、画像を表示することにしました。
 私の考え方が間違っていないと思うかたのみ、「自粛」モード画像をクリックしてみてください。
 それにしても、「文字」を表示させるだけのために、陰部のモザイク処理みたいなことまでして緊張しなければいけない現代は、やっぱりやっぱり不幸だわ。
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