日記 40





↑予想以上に苦労した4作目のCD『SONGBOOK2』が完成。8月1日より通販開始。詳細情報はこちら 

■SONGBOOK2への道のり 2


98/07/19

 SONGBOOK2は完成しました。CD制作に関する作業はすべて終わり、あとは7月末に製品が届くのを待ち受けるばかり。
 前回は主に技術面での苦労話を書いたので、今回はソフト面での苦労を少し書きます。
 そもそも、10代、20代の頃の僕は、シンガーソングライターになることを目指していました。中学・高校の8年先輩にオフコースというバンドを結成して音楽活動していた3人(小田和正、鈴木康博、地主道夫)がいて、かなり影響を受けました。
 30代半ばくらいまでは、自分の歌を世に出すことだけを考え、あらゆる試みを続けていましたが、結局、どれも失敗に終わり、200曲くらいの作品だけが残りました。
 中にはこのまま埋もれさせるには惜しいと思えるものもあります。でも、なにせ若いときに勢いで書いた作品というのは、歌詞が恥ずかしい。今なら技術的にはきちんとした形でアルバムに収められるものの、当時の歌詞のまま自分が歌うのは赤面ものです。
 そうした抵抗があり、40までには気に入った作品だけ選んでアルバムを作ろうという思いがあったのですが、実行はずるずると先送りにしてきました。気がつくと43歳。ますます恥ずかしさだけが大きくなります。
 そこで、まず、自分が歌わない歌の作品集というものを先に出したらどうかと思いつきました。かつての作品の中には、最初から女性に歌わせることを前提にしたものもかなりありました。田辺音楽出版からの依頼で、由岐さおりさんやペギー葉山さん用に作った曲なんてものもあります(結局、世には出ませんでしたが)。学研の仕事で、若いアイドル歌手を想定したような曲もあります。そうしたものを集めてひとつのアルバムにしてみることにしました。
 アイドル用の曲というのは、10年くらい前に録音したもので、まだハードディスクレコーダーなんてなかった頃。音源も安っぽく、素人臭いのですが、当初は記録としてそのまま収録するつもりでした。それが、やっぱりできる限りのことはしようという気になり、オケを差し替え始めて苦労したというのは前回書いたとおり。
 さらには、今回、歌から全部録り直したものが5曲あります。横浜でピアノバーを経営している歌手・DANAと、現役バリバリの実力派ジャズシンガー・清水翠さんに頼んで歌ってもらいました。
 DANAとは20年以上のつき合いなので、気が楽でしたが、清水さんは、会うのもレコーディングの日が初めてだったし、気を遣いました。
 彼女は完全主義者で、なかなか自分の出来に満足しません。歌のアルバムだから、曲の中での主役は歌手だし、そのへんのぶつかりあいなんかもあって大変でした。
 清水さんとはできれば長くおつき合いしていきたいと思っています。これだけ歌える歌手を、僕は今、他に知りません。できれば次のKAMUNAのアルバムにも何曲かゲストで入れるとか、そうして録りためたものを、ゆくゆくは清水翠のアルバムとして1枚にまとめたいとも思っています。
 
 最後に『ありがとう』という曲が入っていますが、これだけは他の曲と違って、比較的新しい曲です。この曲の収録までのいきさつは別のページに詳しく書きました。
 誰に歌ってもらうか……実は5人ほど候補を挙げて、何人かにはデモテープを作ってもらい、他の人たちにも打診だけしたりして、いろいろ迷惑をかけてしまいました。最終的に清水さんに歌ってもらったわけですが、清水翠版『ありがとう』は、僕の周囲では今のところ評判はいいです。
「お洒落です。感情の押しつけがなく、さらっとしているのに、結構一直線に心に染み込んでくる不思議な歌い方です」(広島のAさん。栗栖くんに最初にCD『狸と五線譜』を渡し、彼との交流のきっかけを作ってくれた女性)
「きれいなおんがくに、なって、きれいなこえで、うたって、すごいとおもいました。がいこくの、おしろのおひめさまみたいな、こえを、した人ですね」(作詞者の栗栖くん)
 僕は未だに出来がいいのか悪いのか、よく分かりません。もしかしたら、無心でこの歌と向き合えるだけの心を失っているのかもしれません。
 ただ、アルバムの作業をすべて終えた今、この曲を「オマケ」ではなく、「目玉」として打ち出したいという気持ちは芽生えています。
 

ここが秘密の集会所
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