日記 03/08/16 の10

大地の芸術祭2003探訪 その10 変容の家



この芸術祭に正式参加はしていないようだが、大学のゼミの出品では『変容の家』(東京芸大美術研究科第5研究室)という作品がいちばん面白かった。
蒲生集落にある茅葺きの廃屋を借りて、廃屋の景色に溶け込ませた様々なアートを創り出すというプロジェクト。
駅前で手にしたモノクロコピーのチラシ1枚を頼りに訊ねてみたのだが、松代蕎麦(これは今イチだった)を食べてから行ったので、着いたのは夕闇迫る時刻。
茅葺きの民家の中から人の話し声がするので、中に入ると、学生たちが出迎えてくれた。
What a Wonderful Water World!
まず目につくのが「水芸」風の出し物、いや「作品」。
家の内外を細いビニールチューブがはい回り、そこに水が流れている。あちこちで水車を回したり滝を作ったりして楽しそうだ。
上の写真は、家の中から庭を見たところ。鳥かごの中の水車が水で回っている。
これが『What a Wonderful Water World!』(諸橋明香)という作品。
よくまあ滞りなく水が循環しているものだと感心。あたしには無理だ。物理も弱いし。

土間で出迎えるのは『薄光の下』というプリミティブなオブジェ。暗くて撮影がうまくできなかったので紹介できないが、金銀淑という韓国からの留学生の作品。
屋根裏の景色
屋根裏は蚕棚か農具置き場に使われていたと思われるが、そこの空間を利用して『虚造無人』(田口和奈)という作品が設置されていた。
忘れられた空間に忘れ去られた人間の像……というコンセプトらしい。
西洋のミステリードラマなどで出てきそうな一場面。
虚造無人

虚造無人


主に案内してくれた女性の作品は、二階の寝室そのものだった。
無造作に置かれた布団や家具、生活用具。足踏み式オルガンからは少し調子っぱずれな演奏が聞こえ(実際にこのオルガンで演奏した音を録音し、スピーカーから出している)、時折、汽車が走り去る音などが聞こえてくる。

Heavy Rotation

     『Heavy Rotation』(山咲ナナ)


「無きものとされるものは、本当になくなってしまう。告白しなかったことは、感じたこともないことに、いつか、なる、、、行為は記録されることによってはじめて現実化する」(「変容の家」解説ペーパーより)。
この文章は作者が書いたのかなぁ。ナナちゃん、なかなかのコピーライターですね。

この部屋そのものに興味を持って、いろいろ調べていたところ、たまたま、夫婦が過去に喧嘩した記録(日記)が出てきて、盗み読みしてしまったのだとか。そこから想像を膨らませて、この部屋そのものを作品に仕上げたということだった。
夫婦喧嘩の日記かぁ……実は、僕も両親の喧嘩別れ(そのまま離婚)の生記録である日記を持っている。
両親が恋愛し、結婚し、子供(=あたし)が生まれ、そして喧嘩を繰り返して別れていったことの簡潔な記録。
これは文学に近いアートかもしれない。
モノクロっぽく見せるため、室内の照明はトンネル灯(トンネルの中で使われている赤色照明)を使っている。
いっそ、写真はグレースケールに変換してみましょうか。
Heavy Rotation by Nana Yamasaki


全然関係ないが、出品作8点の作者たちはみんなアーティスト風の名前を持っている。多分、本名だと思うのだが、アートを志す子を持つ親もまた、アート志向なんだろうな、などと思ってしまった

囲炉裏をそのまま使った作品もある。
smoking
『smokin' clean』(エリス森)


ドイツからの留学生の作品。なんともユーモラス。

かと思うと、ちょっとひねりが足りないようなこんな作品も
片肺のカマキリ
『片肺の蟷螂』(譲島祥太郎)
なんだかなあ。ただギターが壁に掛かっているだけじゃんか、これ。



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