越後の春は遠く(承前)

日記 2005/04/09の2

ここは小高
小高は集団移転が決まり、町ももうこの地区のライフライン復旧は放棄したそうだ。
家は残っていても、人は誰ひとりいない。普段なら除雪されている道路には雪解け水が激しく流れ、根こそぎ倒れた墓が転がっている。
小高の中心部
↑小高の中心部

小高にはもう人が住むことはないのだろうか。
移転先の選定を巡って、まだもめているらしい。補修すればまだ住めそうな家の人たちは、ここにきてようやく居残りたいという希望も言い出しているという。
これから先も二転三転するだろうが、小高がかつての姿に戻ることはなさそうだ。
瓦礫
道路脇のあちこちに、雪に押しつぶされた瓦礫の一部がこんな風に見えている。
崖崩れ
雪で崩れた斜面。しかし、これだけ崩れれば、しばらくの間はむしろ土地も安定するのではないだろうか。
もともと地滑り地帯で、この程度の崖崩れは日常茶飯事だった。地震はもう当分来ないだろうから、もう一度戻ってくればいいのに。
仮設住宅
向かいの源治さん一家が入っている田麦山岡平地区の仮設住宅を訪ねた。
山の上にあり、小高よりむしろ場所は悪い。坂道の途中で、雪によって杉が倒れて停電したり、あまりの積雪で仮設住宅全体が雪に埋もれて「仮設住宅からの避難」があったり、この冬、大変だったそうだ。
ネコ
ひなたぼっこする仮設住宅住まいのネコ ↑
神棚
いちばん仲のいい向かいのおばさん(70代)は昼寝をしていた。
「することないから昼寝ばかり」と苦笑していた。
突然訪ねていったが、気持ちよく迎え入れてくれて、煮物や漬け物を出してくれた。
この神棚は全戸に配給されたそうだ。どこかからの援助物資なのかもしれない。
天井には、今冬の豪雪を物語るかのように、ガムテープがあちこちに貼られている。雪の重みで屋根が緩み、天井からどんどん水がしみ出してきたため、どの家でもこうして隙間をガムテープでふさいでいるという。

源治さん宅を出て、役場に。
つぶれた家の撤去申請を出す。すでにもらっている罹災証明書のコピーをつけて。
書類の「家屋の状況」を書き入れる欄に、役場の人が「つぶれた」とだけ鉛筆で書き込んでいた。思わず苦笑。
地質調査サンプル
次に、寅さん宅へ。
寅さんは我が家を売ってくれた人。つまりタヌパック越後の建物と土地の、前の主。
川口町の外れに大きな家を建てて越していったが、その家は今回の地震で土台ごと全体が傾いた。
一見なんでもないようにも見えるが(やはり新しい家は強い)、地盤が緩い場所なので、全部が傾いたという。
特殊工法で家を土台ごと持ち上げ、固い地層の所まで20cmの太さのパイルを打ち込んで土台を作り直して、その上にまた家を乗せることにしたそうだ。
先日、地質調査をしたとかで、そのときのサンプルを見せてくれた。↑
20mくらいまで掘らないと固い地盤にはぶつからないらしい。この特殊工事の費用は全部で1200万円だそうだ。
家は「大規模半壊」と認定されたが、土台が崩れたのではなく、地盤ごと陥没や傾斜した場合は、修繕のための補助金が出ないのだという。不思議な基準がたくさんあるようだ。
しかし、家そのものはほとんど無傷で、ガラス1枚割れなかったのだから、幸運といえる。まわりの家は全壊がたくさんある。


『デジカメ写真は撮ったまま使うな! ガバッと撮ってサクッと直す』(岩波アクティブ新書) 『デジカメ写真は撮ったまま使うな! ガバッと撮ってサクッと直す』(岩波アクティブ新書 940円+税 全ページカラー)  デジカメの肝は、大胆にガバッと撮影して、その写真をそのまま出力せず、必ず「補正して」使うこと。しかも、使いにくいデジカメのオマケソフトなどではなく、IrfanViewをはじめとした優秀なフリーソフトでサクッと加工・管理するのが肝。大胆で即効性の高い「ガバサク理論」でデジカメライフが変わる。オールカラーの実例写真を眺めているだけでも楽しい、1000円でおつりのくる待望の新書サイズデジカメガイド! ご購入はガバサクの購入こちら

一つ前の日記へ一つ前の日記へ    HOME     次の日記へ次へ

タヌパック音楽館は、こちら
タヌパックブックス

   これを読まずに死ねるか? 小説、電脳、その他もろもろ。鐸木能光の本の紹介・ご購入はこちら  

今日の放哉