越後の春は遠く(承前)

日記 2005/04/09の3

二荒神社 二荒山神社壊れた鳥居
暗くなり始めた頃、寅さん宅を出て、小千谷市内に入った。前から気になっていた狛犬たちの安否を確認するために。
市内でおそらくいちばん古く、立派だった狛犬は、旭橋を渡ってすぐの所にある二荒神社(日光社)の安政2(1855)年の狛犬。
入り口の鳥居は全部倒れてご覧の通り↑。不吉な予感がよぎる。

狛犬は高い台座から落ち、雪に埋もれ、首だけを出して迎えてくれた。
ここの狛犬は高い台座の上に乗っていたので、いつも表情が今ひとつ読めなかったのだが、下に落ちたせいで、今までとは違う顔に見えた。間近で見るとやはり可愛いやつだ。
神社の中

いつも閉まっている社殿が開いていた。
社殿の中に木製の狛犬がいることを初めて知った。木製狛犬の盗難事件が滋賀県大津市であったばかりなのに、ずいぶん不用心ではある。

この狛犬、よく見ると、阿像に角がある。普通とは逆だ。阿が目を閉じているのも面白い。
危険の張り紙
社殿内には「危険」の赤紙が……。

暗くなってきたので、もう時間がない。小千谷市内一の古社、魚沼神社を訪ねた。魚沼神社には小千谷市の名工・小林斧七銘の巨大狛犬(昭和8年)がある。
斧七銘の狛犬はもう少し新しいものもあるが、おそらくそれらはブランド名としての「斧七」で、斧七が自ら鑿をふるった狛犬でこの魚沼神社のものが最後に近いと思われる。
魚沼神社
ここも高い台座に乗せられていたので、落ちたことは間違いないだろうと思っていたが、案の定だった。
二荒神社同様、狛犬は雪に埋もれ、顔だけ出していた。
阿の顔
阿は落ちて雪に埋もれた自分の境遇に激しく怒っているように見えた。
顔には泥がついたままで、それがますます怒っているようにみえる。誰か、早くこの泥を拭き落とし、元の場所に戻せ、と言っているかのようだ。
吽はほとんど埋まっていて頭しか見えない。
例年なら、4月のこの時期に境内が雪で閉ざされているなどということはないだろう。
少なくとも狛犬は、いつものように悠然と参拝者を見下ろしていたはずだ。狛犬もこんな無様な姿をさらして、さぞ悔しいに違いない。
首から下は雪に隠れて見えなかったが、脚や尻尾は大丈夫なのだろうかと心配だ。
しかし、古い狛犬というのは、今まで何度もこうした災害に見舞われてきているだろうに、今なお、形を残しているものは、本当にすごいことなのだなと思う。石という素材の強さに改めて感嘆する。
神殿の奥深くにしまい込まれた木製狛犬とは違って、雨も風も地震ももろに受け止めなければならない石造りの参道狛犬。時代を刻みながら枯れていく石のアートを、人々はもっと見直してもいい。
首だけ出して吠えている阿を見つめながら、夕闇に包まれた魚沼神社を後にした。


ところで、多分このとき、胸ポケットに入れていた印鑑を落としてしまった。
誰か拾ったらお知らせください。


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