あなたの音感は何型か?

◇小学校唱歌「チューリップ」(さいたさいた……)を、ピアノでヘ長調(F Major)で演奏しました。それを聴いて、ドレミで歌えますか?

演奏ボタン ←クリックするとヘ長調の「チューリップ」が流れます。


ドレミは分からないが、ピアノの調律が高めか低めかということは気になるし、明確に分かる。A=440ヘルツから大きくずれている調律は許せない。 →絶対音感
人間音叉型
非メロディー型
ドレミは分からないが、この程度のメロディーなら一度聴けばすぐに正確な音程で口ずさめる。また、手探りでよければ、ピアノや他の楽器でもメロディーを再現できる。→ 相対音感
ノンラベリング型
→譜面型判定
ファソラ ファソラ ドラソファソラソ ファソラ ファソラ ドラソファソラファ ……ときこえる。 →絶対音感
固定ド型
→実音対応判定
ドレミ ドレミ ソミレドレミレ ドレミ ドレミ ソミレドレミド ……ときこえる。どんな調でもそう聞こえる。 →相対音感
移動ド型
あまりにも有名な曲だから、ドレミ ドレミ…だと「知って いる」が、他の曲だったら、単純なメロディーでもドレミでは歌えないし、覚えるのも少し時間がかかるだろう。 →一般型→具体例を参照
歌もリズムセクションも入っていない音楽なんて、ハナから 興味がない。メロディーだけ聴かせられても全然ノレない。だからドレミ……と歌うこと自体に意味を感じられない。 →非メロディー型

●譜面型判定
得意な楽器で
音を確認してみる
→ああ、ファソラ ファソラだった。簡単だね。ほら、もう弾けるよ。→相対音感
譜面固定ド型
ん? 最初はFか。じゃあ、ヘ長調の「ドレミ ドレミ……」だな。→相対音感
譜面移動ド型

●実音対応判定
基準音の調律を
A=450Hzくらいまで
上げてみる
→気持ち悪くて気が狂いそう→絶対音感
人間音叉型
実音固定ド型
少し高めに感じるが、やはり「ファソラ ファソラ……」と聞こえる→準絶対音感
実音固定ド型


●一般型・非メロディー型音感人間の具体例
ドレミ(階名)は分からないが、譜面を見せてもらえれば、瞬時に弾くことができる。→譜面変換型
音楽は歌手の声や歌のうまさ、歌詞の内容、演奏の味や技術などを鑑賞するものだ。作品よりも、歌手や演奏者の個性を重視する。→演奏者個性重視型
歌はなくてもいいが、リズムの入っていない音楽は聴く気がしない。→リズム陶酔型
音楽は総合的な「音」を楽しむものだから、メロディーだけ抜き出してどうのこうのという鑑賞法は意味がない。メロディーは音楽の「パーツ」の一つにすぎない→サウンド感覚型



人間をむやみに「型」に分けるのは、安易な性格判断や占い、ひいては差別思想にもつながるので、ある種危険な行為です。これは純粋に「人間にとってそもそも音楽とは何なのか?」という疑問から出発した試みとして受け取ってください。こうしたチャートによって、誰が偉いとか、この音感がいちばん優れているといった決めつけする意図はまったくありません。

あなたの音感は何型か?
あなたの音感は何型か? -絶対音感の誤解-

 日本語しか分からない人とドイツ語しか分からない人が意思疎通するのが大変なように、持っている「音感」が違えば、同じ音楽を聴いても違う感動の仕方をする。
 これが固有の「音感型」であり、音感型についてきちんと理解している人はほぼ皆無である。
 また「絶対音感」というものを多くの人は誤解している。人間音叉のような聴覚を絶対音感と呼ぶとすれば、それは音楽の感性とはあまり関係がない。重要なのは「相対音感」である。
……音楽の感じ方、感動の仕方について、従来になかった分析を試みた書。執筆(1998年)から十数年を経て、電子ブックで登場。
本編『あなたの音感は何型か? ~「絶対音感」の誤解』をお読みになりたい方は、
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