テレビに映し出された何かの映像がきっかけで、日本中が馬鹿みたいな騒ぎに包まれるのは別に今に始まったことではないが、どうも動物が関係していることが多い気がする。
最近ではアザラシのタマちゃん騒動、こないだの死んだ東京湾のクジラ騒動、そして今度はレッサーパンダの風太くんだそうだ。ふぁぁ、たまらん。
可愛い映像ですね。はい、よかったですね、で終わればなんにも言うことないのだが、毎日のようにテレビで流し続けるというのはどう考えても異常。ついには、「風太くん」を商標登録しただの、テレビコマーシャルに起用しただのという話まで出てきた(撮影隊が動物園にやってきて、撮影は6時間に及んだとか)。
あまりの馬鹿騒ぎぶりに、とうとう
旭山動物園(北海道旭川市)がサイトのTOPページに「緊急メッセージ」として「レッサーパンダを『見せ物』にしないでね」という文章を掲載した。同じ動物園でもずいぶん姿勢が違うものだ。
このメッセージにはごくあたりまえのことが淡々と書かれている。
「レッサーパンダは解剖学的にも2本足で立つことは当たり前にできます。むしろ立つことができない個体がいるとしたらその方が問題です」
そりゃそうだ。ネコだって犬だってクマだって二本脚で立ち上がることは普通にしている。最初から、みんなそう思っていたはずなのに、なぜこんなことになるのか。
東京湾にクジラが現れたりアザラシが現れたりすることが「珍しい」というのはまだ分かるが、それよりはるかに次元の低いことで騒いでいる。
しかし、レッサーパンダが立ち上がったのを見て、人間がきゃーきゃー騒いでいるだけならまだいい。いちばん嫌なのは、レッサーパンダに首輪と鎖を付けて、猿回しのように「芸」を見せようとする施設があることだ。
動物園という存在そのものが教育的にいけないという意見もあるが、ましてや野生動物に首輪をつけて人間がそれを引き回すことを子供に見せることは、絶対にやってはいけないことだろう。首輪と鎖をつけられ、引き回される野生動物を指さし、「かわいいね」と喜ぶ親。その子供は「人間と野生動物の関係」をどう学習するのか。あらゆる動物はこうして扱うのが普通だと学ぶだろう。それがいかに恐ろしいことか、考えてほしいものだ。
僕のサイト「tanupack.com」のTOPにInternet Explorerで接続すると、KAMUNAのレパートリーで唯一ヴォーカルバージョンになっている曲(Orca's Song)が流れる。
歌詞はこうだ。
Set me free,
Rushing waters fall fast away.
Go with me
To a deep blue world way beyond.
High winds blow
Over orcas and men both alike.
The cries of woe
Drowning out the moaning winds.
(Lyrics by Chino Midori)
プールで芸をさせられるオルカが、すぐ隣りに広がる大海原へ想いをはせるシーンを描いているのだが、もしかして、この世でいちばん不自由なのは、人間という生き物なのかもしれない。
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●在りし日のタヌ
(この角度から撮ったタヌキの写真はあんまりないのでは?)