2006年7月14日執筆 2006年7月18日掲載
猫の墓場
毎年7月は上智の非常勤講師としてのボランティア(時給が安いから赤字だもの)月間。
そのために阿武隈から2日に上京して、翌日、久々にテニスをしてから教室に向かったら、授業中両脚がつって大変だった。
教壇の上で脚がつったなんてかっこわるくて言えないから、椅子に座って脚を伸ばす格好でふんぞりかえってみたり……。軽い肉離れも起こしたみたいで、その後数日間痛かった。
10日は恒例のKAMUNA上智ライブ。今年は確か6回目だと思うが、わりあいゆったりできて、いい感触だった。
ギターからノイズが出て、それを防ぐために急遽プラグ端子から1本アース線をとって、パンツの中にこっそり入れたのだった。人間アースでノイズ軽減。学生にばれないようにするのが大変だった。
パンツの中の湿り気でアースしているとは誰も気づかなかっただろう。むはは。このへんが年の功よ。
その間、今度はスカパーの怪しい番組に「狛犬研究家」として出演することになり、蚊が乱舞する赤坂氷川神社でロケ。真夏の東京。神社の境内をよく知る僕だけが長袖だった。もちろん虫刺されの薬持参。おほほ。このへんが経験の差なのよ。
かみさんが月に二度、週末、上京することになり、入れ替わりにウサギの世話をするために阿武隈に高速バスで戻って、一夜明け、この原稿を書いているところ。
ゆっくりする間もなく、17日には怪しい番組のスタジオ収録のために今度はひとりでクルマで帰京し、用事を終えたかみさんを乗せてまたとんぼ返りの予定。
ところで、越後時代から、いつも帰京する日になると突発的なトラブルが起きる。クルマがパンクしたり、土壌浄化槽が故障してウンコが地表に噴出したり。
このところ立て続けに起きたのは猫の死骸発見。
帰り支度をしていると、何かベランダのあたりからにおってくる。よく見ると、ウッドデッキの下、積もりに積もった枯葉にくるまれるようにして猫が死んでいるのが、板の隙間から覗けた。
最近、野良猫の姿が見えなくなって心配していたらこんなところで……。
しかも、ウッドデッキの下は人間が這っても入れない隙間しかないので、簡単には死骸を掻き出せない。
雪かきスコップの柄にシャッターを下ろす鉄の棒をガムテープでくっつけて長い長いシャベルを作って、それに乗せるようにして掻き出したり、大変な作業。
もちろん、掻き出した後は穴を掘って埋めなければならないわけで、これから帰らなくちゃいけないのになんで……ということがつい先日あった。
今回、入れ違いに帰京したかみさんが、クルマの鍵を渡しながら一言。
「また同じところに猫の死骸が……」
そんなわけで、今日は朝起きていちばん先にした仕事はウッドデッキの下で死んだ野良猫を引っぱり出して埋めることだった。
このへんで見た記憶もない三毛猫だった。
なんでわざわざうちに来て死ぬのかしら。
こないだ死んだ猫とつきあいがある野良猫で、あそこで死ねば埋めてもらえると思ったのかしら。
象の墓場ならぬ猫の墓場になりつつあるタヌパック阿武隈。かんじんのタヌキは気配だけでまだ姿を確認できないのに、野良猫は呼んでもいないのに集まってくる。困るなあ。
わざわざうちに来て死ぬということは、この場所が安全だと分かっているんだろう。
僕は人間にはときどき警戒されるが?、動物からはたいてい好かれる。相当神経質な猫でも、初対面のときから向こうからすっと寄ってきて足下にすりすりして挨拶されることがよくある。飼い主が「客人が来ると一目見るなり逃げてしまうのが常なのに、こんなことは初めてだ」と驚くほど。
この前も、初めて入ったガソリンスタンドで、店内に犬が寝そべっていたので運転席の窓からカメラを向けたところ、むっくり起きあがってクルマまでやってきた。頭を撫でてやると、店主が困ったような顔で連れて行った。歩くのもおっくうそうな老犬だったから、わざわざ挨拶しに来るというのはよほどのことだと思う。
まあ、動物に嫌われる人間になるよりは、猫の墓場の墓守になるほうがずっといいかもしれない。諦めて職務?を全うするか。
●枯葉にくるまれ死んでいた野良猫
(これはまだ1匹目。この後も……)
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