日本語は縦書きが基本で、ルビ振り、縦中横(たてちゅうよこ=縦書きの中に横組みが入ること。2桁の算用数字などは普通縦中横で印刷しますね)など、欧文にはない要素がたくさんあります。
ところが、ワードに代表されるワープロソフトは、欧文文化圏でできたものなので、こうした日本語独自の書式設定が苦手です。
左の図はワードで縦書き入力をしている画面ですが、縦中横で割り付けたい部分が横に寝てしまっています。これらはいちいち範囲選択してから「縦中横」の指定をしてやらなければなりません。
これが、QXなどのテキストエディタですと、全角文字で挟まれた半角数字や欧文2文字は自動的に縦中横にレイアウトするというオプション機能があり、いちいち指定しなくても縦中横が可能になります。(編集画面・印刷時共に有効。右図参照)
また、そもそも、普通に文章を書くのに「ワープロソフト」は必要ないのです。
ところが、多くの人たちはこのことに気づかず、最初からワードや一太郎など重量級ワープロソフトを使って日本語を書こうとします。これが根本的な間違いです。
私は小説家ですから、パソコンで日本語を書くことにかけては長い間研究をしてきました。その結果、ほとんどの日本人は「コンピュータで日本語を扱う」という基本的なことを知らないまま、漫然とワードやエクセルを使わされていることを痛感させられました。
このことは拙著
『ワードを捨ててエディタを使おう』(SCC)や
『テキストファイルとは何か?』(地人書館)で詳細に説明しましたので、ぜひ一度お読みください。今までどれだけ損をしていたか気づいていただけるはずです。
さて、QTViewはテキストファイル(文字コードだけで記述されたファイル)を自分の好みの体裁で読むためのソフトです。
どんな感じになるかは、一度
「文藝ネット」(http://bungei.net)でQTView版の小説を読んでみてください。
右の画面は、QTViewでテキストファイルを表示した画面の一部分です。背景色や使用フォントの種類、大きさ、行間・文字間の空きなどはすべて自由に設定できます。
このような暗色背景で明色文字という黒板風表示にすると、長時間ディスプレイを見ていたときの目の疲れがぐっと減ります。
QTViewはバージョン2から「暗号化」に対応しました。
これは、私をはじめ、作家の何人かがQTViewの作者であるarakenさんに要望を出したからです。
ネットでテキストファイルを「素」のままで配信するのは不安がある。元ファイルを暗号化できないか……という要望です。
この要望がかなったわけですが、その代わり、テキストであれば音声読み上げソフトなどを使って視覚障碍者でも読めたものが、暗号化で読めなくなるというマイナス面も生じました。コピー防止と自由化……いつでも悩む相反する要素です。
QTViewでは複数の文字コードに自動対応しています。(下の画像参照)
文字コードとは何か……という話は長くなるので、拙著『テキストファイルとは何か?』に譲りますが、UNICODEに対応することで、文芸家が騒いでいた「出したい字が出せない」という問題も大幅に解消されます。
UNICODEは早く標準化してほしいのですが、この文字コードの採用に大反対していたのも一部の文芸家たちです。ことの本質を分かっていなかったとしか思えません。
そのへんの話も
『テキストファイルとは何か?』に書いてあります。