2007年7月30日執筆
参院選2007 比例区の研究
1位 公明党 54.7%
2位 国民新党 46.5%
3位 自民党 36.3%
4位 新党日本 35.6%
5位 社民党 24.9%
6位 民主党 19.0%
7位 日本共産党 10.8%
……これは今回、2007年7月29日投票の参院選の結果(議席獲得政党のみ)なのだが、なんの順位だかお分かりだろうか。
比例区における得票数の「個人名得票/総得票数」の割合である。
1位の公明党と7位共産党では5倍以上の開きがある。
ついでに、こんなデータもどうぞ。
1位 公明党 (192708 16.8%)
2位 新党日本 (298396 34.9%)
3位 国民新党 (42750 63.6%)
4位 共産党 (17745 68.3%)
5位 社民党 (34996 76.0%)
6位 民主党 (7894 88.3%)
7位 自民党 (14678 92.7%)
これは比例区候補の最下位当選者と最上位落選者の票差と開き具合(票差 最上位落選者の獲得票/最下位当選者の獲得票を%で表したもの)だ。
新党日本は候補者が3人で、実質上、田中康夫代表と有田芳生候補者の2人入るかどちらか1人かという戦いだったから、このデータの2位はほとんど意味がない。注目すべきは、公明党がいかに統制の取れた選挙戦をしているかということ。
最下位当選の魚住裕一郎氏の票は23万1,500票。それに続く草川昭三氏(落選)の票は3万8,792票。その差は20万票近くある。
つまり、公明党は最初から学会票の総数を把握しており、比例区での当選者数を割り出して、誰に入れなさいという区割り選挙を整然と行っているわけだ。
これに対して、同じ組織選挙を行う共産党は、誰に入れろという区割りはガチガチにはやらず、とにかく「共産党」と、政党名を書くように指示しているらしい。共産党の比例区得票のうち、個人名得票は1割にすぎず、これは他の政党の個人票割合を大きく下回っている。
今回の比例区結果で最も注目すべきは、自民党と民主党における投票傾向のあからさまな違いだ。
自民党の個人票は36.3%で、民主党の19.0%の倍近い。それだけタレント候補に依存したということだ。
比例区の当落を見ても、テレビメディアへの露出度の多い候補は全員当選した一方で、
武見 敬三 55 186,616票 前 (2) 副厚労相
藤井 基之 60 168,184票 前 (1) 元厚労政務官
上野 公成 68 159,967票 元 (2) 元官房副長官
段本 幸男 62 128,199票 前 (1) 元財務政務官
尾身 朝子 46 117,782票 新 非常勤教授(尾身幸次財務相の長女)
藤野 公孝 59 78,500票 前 (1) 国交政務官
小泉 顕雄 56 70,883票 前 (1) 元文科政務官
森元 恒雄 60 68,665票 前 (1) 元内閣政務官
福島啓史郎 61 66,088票 前 (1) 元外務政務官
米田 建三 59 61,434票 新 元衆院議員
森下 博之 65 20,383票 元 (1) 元国交政務官(党内最下位)
※候補者名 年齢 票数 かっこ内数字は就任回数
……といった、要職経験者や議員二世はことごとく落選している。
自民党が大敗するのは当然として、残念なのは相変わらずテレビメディアへの露出度の多い候補者に入れる安易な投票傾向が強いということだ。
民主党は勝ったというものの、今回の選挙は特別な状況下であって、選挙のやり方、特にメディア戦略は相変わらず下手だ。
唯一のタレント候補と呼べる横峯良郎氏は211,828票で8位当選だった。自民党の比例区にあてはめると12位でギリギリの線。民主党が彼に期待した集票効果はなかったといっていい。むしろ「民主党もタレント頼りか」というマイナスイメージのほうが大きかったのではないか。中途半端にこうした候補を立てず「民主党はタレント候補に安直に頼ることはしません! 有名人だからというような投票はやめましょう!」というPRを行っていれば、そのほうが集票効果につながったのではないか。
センスのないテレビコマーシャルやポスターにしても、どう考えてもプラスになっていないはず。次の選挙(衆院選)で本気に勝つつもりなら、まずは広報担当者の総入れ替え、依頼している広告代理店を切り離すといったことが必要だと思う。
ちなみに、有田芳生氏への個人票は159,814票だったから、民主党から出ていれば楽勝だった。敢えて難しい新党日本から出たところに、愚直さを感じる。独自の調査手腕やベテランスタッフを持っている有田氏が参院に送り込まれれば面白かったと思うが、素人・横峯氏のほうが票を取ってしまうところが残念。
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