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書 名:『インターネット時代の英語術』 著 者:鐸木能光 版 型:A5版単行本 版 元:SCC(99/12) 価 格:1,600円 ISBN :4-88647-770-4 |
この不況の時代、なぜか英会話学校のテレビCMはやたらと目につく。しかし、英会話学校に通って英語が自在に話せるようになったという人を、私は知らない。
ときどき、若い人から「将来、英語を使った仕事をしたいんですが、どんな勉強をすればいいでしょう?」というような質問を受ける。話を聞いてみると、本人が「英語を使った仕事」というものに対して、極めて希薄なイメージしか抱いていないことが分かる。
同じ「英語を使う仕事」でも、学校の先生になって受験英語の世界に生きるのと、企業戦士となってアジアマーケットに突撃するのとでは、要求される能力がまったく違う。英語の専門職分野でも、例えば同時通訳と翻訳家では適性が大きく違う。通訳なら耳の訓練が必須だが、翻訳家は極端な話、会話能力がゼロであっても読む力さえあればできるし、英語よりもむしろ日本語の作文能力のほうが問われる。
そもそも英語というのは目的ではなく手段にすぎないわけで、英語を自由に操れることが目的であるという考え方がおかしい。
へそ曲がりな私は、そういう人たちには、「本当に英語が必要なの?」と訊き返す。「日本人なら、日本にいる限り英語を使わなければいけない場面なんかあんまりないよ。就職したって、中途半端な英語力だったらなんの役にも立たないよ。英語をマスターするって、日本人にはかなり大変なことだよ。やめちゃえば?」──と。
英語英語と騒ぐ前に、自分が本当にやりたいことを見つけてほしいのだ。そのために英語力が必要だというなら、真剣に取り組めばいい。だが、自分が何をやりたいのかも分かっていないまま、ただ「英語が話せたらかっこいいもん」「英語ができたら便利だろうな」というノリで英語を勉強して、うまくいくわけがない。
はっきり言おう。「英語は簡単にはマスターできない」!
特に、「話す」「聞く」能力は簡単には身につかない。ちょっと会話学校に通った程度で英語がペラペラ話せるようになるなどというのは、妄想に近い。
また、苦労して英語力を身につけたとしても、使わなければすぐに忘れる。使わないから英語力が低下するというのは、もともと大して英語を必要としていなかったという証明でもある。
……と言ってしまっておしまい、では話が進まない。おしまいではないからこそ、この本を書く意味がある。
ここ数年で、日本人が英語に接する機会は急増した。その背景にはインターネットの普及がある。世界中の人間と、通信回線を通して簡単にコミュニケーションできるようになり、ビジネスの場でも、海外を相手にする場合はほぼ100パーセント、インターネット抜きでは仕事ができなくなっている。
また、その気になれば、あらゆる分野の最新の情報が、インターネットを通じてすぐに入手できる。特にベンチャービジネスでは、アイデアの新鮮さと情報の新しさが命だから、インターネットとパソコンがなければ話にならない。
こうなると「日本にいる限り、英語なんて使うチャンスはあんまりないよ」などと無責任なことは言っていられなくなってきた。
英語ができないと、インターネット上ではとても損をする。多くの情報が、まずは英語で入ってくる。それが日本語化されるのを待っていたのでは、常に人の背中を追いかけることになる。英語を見ただけでしりごみする人は、英語のサイトから情報やソフトをどんどん手に入れている人に比べて、インターネットの恩恵を何十分の一も得られていないことになる。
そこで本書では、敢えて「話す/聞く」よりも「読む/書く」英語に焦点を当て、学校教育を卒業してしまった大人が、どうやったら「今さら」英語力を向上させうるのかをテーマにしてみたい。
まずは、英語(教育)にまつわる様々な誤解を解き、嘘を見抜くことから始める。自分がいかにひどい英語教育を受けてきたかを知れば、それを反面教師とすることもできるからだ。
次に、いちばん大切な「動詞の使い方」「文の組み立て」能力を短期間で立て直すための「英語の九九」学習法というものを提示する。
さらには、インターネットを武器に、いかに楽しみながら、かつ得をしながら英語力を向上させていくかについて、様々なtipsを紹介する。