たくき よしみつ の たくき よしみつ(鐸木能光)のデジカメ・ガバサク談義 ガバサク

SONY HX-90Vでどんな写真が撮れるのか?

現在、私(たくき)が日常写真用に24時間腰からぶら下げているカメラがSONYのHX-90Vです。
……という欠点がありますが、
102.0 x 58.1 x 35.5mm 245g
という超小型ボディでありながら、光学24-720mm相当の超広域ズームレンズの威力を積極的に楽しむ写真生活は魅力的でもあります。
超望遠以外のスナップ的撮影や植物や昆虫のマクロ撮影などでは、レンズが明るく画素ピッチが大きい他のコンパクト機に負けますが、実際にどの程度の写真が撮れるのかという実例をいくつかご紹介します。

マクロ的撮影


1/80秒、F4.5、ISO 125、68mm相当
薄曇りの野外で。液晶モニターが角度可変なので、こうした仰角での撮影もうまくいきます。ただし、逆方向には動かないので、上から俯瞰の撮影ではモニターが見えません。屋外ではマクロ的に撮ってもこの程度には写ります。色味が寂しいですね。



1/200秒、F4.5、ISO 80、68mm相当
蜂の巣を仰角、縦位置で撮影。このくらいの距離だと背景も適度にぼけてくれます。



1/60秒、F4.5、ISO 400、58mm相当
屋内に陳列されている彫刻家体(車輪がないので屋台ではなく)の一部。色の階調が浅いが、この程度には写る。



1/30秒、F3.5、ISO 640、24mm相当
屋内で食べ物を撮ったところ。広角端で絞り全開状態。IrfanViewで明るく補正している。こういう写真であればスマホでも十分だろう。


屋外で風景を


1/250秒、F3.5、ISO 80、24mm相当
広角端で絞り全開。夕方ではあるが、実際にはもっと明るい風景。レンズが暗く、画素ピッチが狭いため、明暗差や色階調が単調になる。実際の風景とは違うものになるのを承知の上で「写真としてきれいな図」になればいいと計算して撮るしかない。



1/320秒、F4、ISO 80、31mm相当
夕暮れの空の赤味を記録したかったが、赤くならない。実際にはもっと濃くて味わいのある夕焼けなのだが、これは画素ピッチの狭さが原因。こういう写真であれば、1型センサーの機種や、同じ1/2.3型センサーでも画素数が抑えられているXZ-10などのほうが有利。



1/320秒、F3.5、ISO 80、24mm相当
広角端で絞り全開。これも空の青と夕焼けの赤のコントラストが、実際にはもっと鮮やかなのだが、画素ピッチの狭さゆえにショボい色味にしかならない。


色味を鮮やかに出せるか


1/320秒、F5、ISO 80、80mm相当
午後2時の明るい日の中で。色味が薄いのをIrfanViewで補整しているが、どうしてもちゃちな印象にはなる。


1/160秒、F3.5、ISO 80、24mm相当
屋外だが広角端で絞り全開になっていても1/160秒程度。暗いレンズの宿命。カラーモードをVividにしてあるのだが、色味はどうしてもパッとしない。


1/250秒、F3.5、ISO 80、24mm相当
これも同様で、もっとシャキッとした色合いでコントラストを出したいのだが……。

明暗差を演出する


1/80秒、F4.5、ISO 80、46mm相当
朝の光を浴びて黄金色に輝く黄葉のコナラが見えている窓。もちろん実際には屋内はもっと明るいのだが、明暗差に弱いHX-90Vでは、割り切ってこうした絵に仕立てたほうが印象的なものになる。これもIrfanViewでかなり補整している。



1/15秒、F3.5、ISO 3200、24mm相当
夕暮れどきの焼き鳥屋さん。広角端で絞り全開。レンズが暗いのでシャッター速度は限界ギリギリの1/15秒、ISOも3200まで上がっているが、なんとかこの程度にはなった。


野鳥


1/125秒、F6.4、ISO 3200、720mm相当
ヒヨドリ。これがHX-90V自慢の光学720mm相当の超望遠。さらにトリミングして拡大し、IrfanViewでシャキッと補整している。こういう写真は他のコンパクト機では無理なので、本領発揮。



1/320秒、F6.4、ISO 80、720mm相当
ジョウビタキの♀。これは明るかったのか、ISO 80でいけた。IrfanViewで相当補整している。手のひらサイズのコンパクトカメラでこれができるのはHX-90Vだけかもしれない。他の1/2.3型センサーの超望遠コンパクト機は、もっと大きいので、ポケットにはギリギリ入っても、24時間身につけていられるほどではない。シャッターチャンスはいつやってくるか分からないので、手のひらサイズのカメラであるということが重要。



1/320秒、F6.4、ISO 80、720mm相当
昼間の月を望遠端で。レンズが暗く画素ピッチが狭いので、少しでも空が暗くなるとたちまち月は白く飛んでしまう。月の表面をこんな風に写したい場合は、まだ明るいうちに撮るしかない。



1/250秒、F6.4、ISO 500、720mm相当
これもまだ十分に明るい状態で撮っているのだが、月の表面を写そうとするとこんな風に夜のような空になる。そこを割り切れば、昼間の月に限定して、こういう写真は撮れる。



1/250秒、F6.4、ISO 320、720mm相当
望遠端で撮ったものをトリミングしてさらに拡大している。IrfanViewで補整。シャープフィルタをガシガシかけてやれば、この程度には仕上がる。

動画性能

肉眼ではコサギかなと思うほど小さな点にしか見えなかったが、望遠で動画を撮ったらダイサギだった↑ ここまで超望遠だとさすがに手持ちでは揺れてしまうが、こういうのはG9XやRX100Ⅲではまったく無理。HX-90Vの独壇場。


……というわけで、欠点が多いカメラではあるが、うまく使いこなせばかなり面白い写真が撮れるという実例でした。
動画性能も悪くはないです。ただ、音声が小さいのが気になりましたが。
これから購入を検討されているかたのご参考になれば幸いです。
私としては、画素数を半分以下に落とした(せいぜい1000万画素程度)最新技術の1/2.3型センサーをSONYが大量に生産して世界中に安く供給してくれないかなあと 願っています。そういうセンサーを入れれば、HX-90Vの画質は色もシャキッとしてグンと上がるでしょうから。

SONY HX-90V


102.0 x 58.1 x 35.5mm 245g
 この大きさに光学24-720mm相当の超望遠ズームレンズを搭載したというモデル。野鳥などを撮るとその威力に感動しますが、普通の使い方ではレンズの暗さやセンサーの小ささが影響して、「まあまあ」程度の絵にしかなりません。最短撮影距離が長いので、望遠マクロ的な撮影も苦手で、昆虫や花などをマクロ的に撮ることが多い人にはお勧めしません。小さいのにファインダーがあり、DMF(AFとMFを併用してピント合わせする機能)などもありますが、使いこなしにはコツが必要です。しかし、いざというときのズームの威力、特に超望遠での動画性能のよさは、他のモデルでは真似できない特別な存在といえます。2021年1月現在、私の日常&お散歩カメラになっています。
そろそろ新品が入手しづらくなりましたが、程度のよい中古がAmazonで2万円台からかなりの数出ています。
SONY HX-90V をAmazonで購入で捜してみる
⇒SONY HX-90Vというカメラ
⇒続・HX-90Vをお散歩カメラにする

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