たくき よしみつ の 鐸木能光のデジカメ・ガバサク談義 デジタルストレス王
2012年秋版をこちらに公開しました

このページは過去の記録(2008年10月編)です。2012年秋バージョンがこちらにあります

デジタル一眼でなければならない条件を考える

デジタル一眼レフカメラの問題点は、
  1. 暗いレンズしか持っていなかったら使用条件が限定され、あまり意味がない
  2. 「使える明るいレンズ」があまりなく、あってもあまりにも高価すぎる
  3. 液晶モニターで同時モニターできないものが多い
  4. 大きくて重い
  5. シャッター音がする
といったところです。
そこで、今、デジタル一眼レフカメラを買うならば、次のような作戦をたてたらどうかと提案します。
  1. チルトするライブビュー液晶モニターがついている機種は最優先で選ぶ
  2. レンズはメーカー純正の暗いセットもの(F3.5-5.6がほとんど)ではなく、タムロンやシグマなどのレンズメーカーで出している、一段階明るいレンズ(全域F2.8など)を選ぶ
  3. レンズが暗くても、超高域ズーム(18-250mmなど)は極めて便利なのでお勧めである
  4. レンズが暗いのをカバーするため、ボディに手ぶれ補正機構を搭載した機種を選ぶ ボディに手ぶれ補正機構が内蔵されていないキヤノン、ニコンの製品を選ぶ場合は、手ぶれ補正機構が内蔵されているレンズを組み合わせる
これを実践すると、2008年10月現在では、
SONY α300のボディ+タムロンの18-250mmレンズまたはシグマ、タムロンの明るいズームレンズ
という選択が筆頭で考えられます。
また、ニコンD40はダブルズームキットIIで買っても異様に安い(5万円台)ので、これをベースに考えるのもよいでしょう。

メーカー純正レンズキットを見捨てる

まず、レンズですが、メーカー純正で明るいレンズというのは非常に高価です。セット販売されているズームレンズはF3.5-5.6といった暗いレンズですから、最初から選択肢に入れないことにします。(つまり、よほど安い場合や中古で最初からついている場合以外はセットで買わない)
レンズメーカーであるタムロンやシグマなどから、次のような魅力的なレンズが出ています。どれも35mmフィルムカメラ用ではなく、最初から撮像素子が小さなデジタル一眼専用のものです(つまり、銀塩一眼レフには使えません)。
製品名はメーカーサイトのページにリンクしています。 実売価格は、2007年3月4日現在、価格コム調べです。

シグマ 17-70mm F2.8-4.5   (17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO)

17-70mm F2.8-4.5 最短撮影距離20cm、最大倍率は1:2.3。開放値F2.8(17mm時)。φ79mm x 82.5mm。重量455g。全社マウント用あり。実売価格3万5000円弱。

シグマ 18-50mm F2.8   (18-50mm F2.8 EX DC Macro)

全域でF2.8の明るさ。最短撮影距離28cm。φ74.1mm x 84.1mm。重量445g。全社マウント用あり。実売価格は4万3000円程度。

シグマ 30mm F1.4   (30mm F1.4 EX DC /HSM)

単焦点標準レンズ。F1.4の明るさを持つデジタル一眼専用レンズは稀少(というか、現時点ではおそらく唯一の存在)。全社マウント用あり。HSM搭載モデルは、ボディにAF用モーターを内蔵していないNikon D40でもAFが可能。φ76.6mm x 59mm。430g。実売価格は4万円弱(キヤノン用)〜。

タムロン 17-50mm F2.8   (SP AF17-50mm F/2.8 XR Di II)

タムロン タムロンでも全域F2.8のデジタル一眼専用ズームレンズを出している。最短撮影距離28cm。φ73.8mm×83.2mm。445g。実売価格3万円台半ば。

ペンタックス 40mm F2.8   (smc DA 40mm F2.8 Limited)

ペンタックスDA40mm ペンタックスから出ているデジタル一眼専用レンズの中ではそこそこ明るい。画角は35mmフィルム換算で約60mmになるので、中望遠と標準の間くらいの感じになる。単焦点なのだからもっと明るくしてほしいところだが、代わりに長さ15mm、重量90gという超薄型・軽量なのがメリット。実売価格3万8000円前後。

タムロン 18-250mm F3.5-6.3   (Di II LD Aspherical [IF] Macro)

タムロン モデルA18 明るくはないが、2007年2月、タムロンから魅力的なレンズが発売された。なんと18-250mm、35mmフィルム換算では約28-375mmという驚異的なズーム域を誇り、なおかつ430g、長さ84.3mmというコンパクトさ。この軽さで超望遠が撮れるなら望遠端F6.3でも十分納得。実売価格が4万円代半ばから後半。これならデジタル一眼のセットレンズは買わずに、このレンズをつけっぱなしにして使えば、10倍楽しめる。暗い分、カメラボディ側に手ぶれ補正機構は必須。
使用報告は→こちら

タムロン 18-270mm F3.5-6.3(Di II VC LD Aspherical [IF] MACRO =Model B003)

タムロンAF18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC LD Aspherical [IF] MACRO (Model B003) 超望遠ズームは、ニコン、キヤノンなど、ボディ側に手ぶれ補正機構が内蔵されていないカメラで使うのは厳しかったが、ついに手ぶれ補正機構内蔵の新型を出してくれた。しかもニコン用はAFモーター内蔵なのでD40でも使用可能。これで6万円は高くはない。

シグマ 18-200mm F3.5-6.3 DC OS

シグマ18-200mm OS シグマの従来型18-200mmに手ぶれ補正機構を内蔵させたレンズ。これだけ望遠側が伸びているズームだと、CanonやNikonなどの手ぶれ補正なしのカメラで使うと必ず手ぶれ写真の量産になるが、レンズ側に手ぶれ補正を組み込んだレンズがメーカー純正品より安く出てくるのは大変助かる。実売価格は4万3000円強。これにCanonのEOS Kissシリーズなどを組み合わせるのは楽しい選択。


どれも非常に魅力的な仕様で、メーカー純正レンズ、特にセット販売されているズームレンズなどより実用的だと思われます。
メーカー純正レンズ以外は使いたくないというかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、「純正」とはなんでしょうか? 一般には知られていませんが、現在、レンズをすべて自社生産しているカメラメーカーはありません。レンズ一体型デジカメの世界では、タムロンなどのレンズメーカーで生産したまったく同じレンズユニットが、あるメーカーのデジカメに組み込まれるとカールツァイスに、別のメーカーのデジカメに組み込まれるとライカになったりします。
一流の国内カメラメーカーの純正レンズも、実際にはかなりがレンズ専用メーカーでOEM生産されています。
ですから、レンズのブランド名にこだわるのは馬鹿げたことなのです。実際に使ってみて、自分で性能を判断するしかありません。
例えば、私があちこちでお勧めしているタムロンの18-250mm(通称ズボラレンズ)は、SONYの純正レンズとしても同じものが出ています(デザインが若干違うだけのOEM)。同じ性能ですが、販売価格は1万円くらい違います。


比較のために、カメラメーカー純正の、F2.8以上の明るさを持つAPS-Cサイズ撮像素子デジタル一眼専用レンズのスペックも出しておきます。シグマやタムロンに比べて価格は2倍〜3倍以上します。

キヤノン 17-55mm F2.8   (EF-S17-55mm F2.8 IS USM)

EF-S17-55mm F2.8 IS USM 手ぶれ補正機構を内蔵した明るいズームレンズ。レンズ側に手ぶれ補正機構を内蔵させる設計は、将来、カメラ本体側に手ぶれ補正機構を内蔵させた場合どういうことになるのだろうか。先にこうしたレンズを発表したことが、Canonの一眼レフ本体設計思想にも影響してくるような気もする。しかし、巨大で重い。φ83.5×長さ110.6mm、645gという超弩級レンズ。実売価格10万円弱。

ニコン 17-55mm F2.8   (AF-S DX Zoom Nikkor ED 17-55mm F2.8G)

ニッコールブランドで全域F2.8のズームレンズを入手しようと思うと、とんでもない金額になる。Canonの645gを上回る重さも半端じゃない。最短撮影距離0.36m(焦点距離35mm時)、φ85.5×長さ110.5mm、755g。実売価格約15万3000円。

詳しい仕様はメーカーのサイトで確認してください。上記レンズ名をクリックするとリンクしています。

これからのデジタル一眼レフカメラは手ぶれ補正機構で選べ

ペンタックスとソニーはボディ内に手ぶれ補正機構を内蔵させることで、どんなレンズでも手ぶれ補正がきくようにしています。古い35mmフィルムカメラ用レンズ(例えばF1.4/50mmの明るい単焦点レンズ)でも手ぶれ補正が効くのは大きなメリットです。
ニコンとキヤノンは手ぶれ補正機構はレンズ内蔵式のほうがいいのだと主張して、ボディ内には組み込もうとしていません。これはレンズで囲い込みをするという一眼レフ独特の販売戦略とも関係しているように思います。
デジタル一眼は、レンズがあってなんぼのものです。そこをよく考えて、いかにコストパフォーマンスの高い組み合わせを実現できるかを考えるべきだと思います。(もちろん、予算を潤沢に使えるかたは、心ゆくまで高性能・高機能を追究してください)
カメラの画像をクリックするとメーカーサイトに飛びます。
機種名撮像素子最高解像度
面積比較
手ぶれ補正機構液晶モニター寸法・重量実売価格
α300
SONY α300

23.6mm×15.8mm CCD 
3872×2592
2.7型23万画素 130.8×98.5×74.7mm
582g(本体のみ)
5万円弱
2008年7月発売。チルトするライブビュー液晶モニター搭載のデジタル一眼は、現在(08年10月)のところ、APS-Cサイズではこれだけ。一番のお勧め。
機種名撮像素子最高解像度
面積比較
手ぶれ補正機構液晶モニター寸法・重量実売価格
K200D
PENTAX K200D

23.5×15.7mm CCD
3872×2592
2.7型23万画素133.5mm(幅)×95mm(高)×74mm(厚)
630g(本体のみ)
4万8000円弱
2008年2月発売。K100Dの後継機種。防塵・防滴構造を採用。CCDの防塵対策も強化。

機種名撮像素子最高解像度
面積比較
手ぶれ補正機構液晶モニター寸法・重量実売価格
D40
Nikon D40ダブルズームキットII
23.7×15.6 CCD
3008×2000

(望遠ズームのみレンズに内蔵)
2.5型23万画素126×94×64mm
475g(本体のみ)
5万4000円強
とにかく安い。ダブルズームキットIIは、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G II とAF-S DX Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6G(IF)という2本のズームレンズがついているセット。
いちばんのお勧めはα300とタムロン18-250mmの組み合わせ。チルトするライブビュー液晶モニターと超高域ズームレンズで、相当楽しめます。
次に、D40も安いのでお勧め。
ダブルズームキットIIで買うと、望遠ズームは手ぶれ補正機構内蔵で、望遠端でのF値もしっかり保っています。これで5万円台半ば。
画素数が足りないという人がいますが、610万画素は必要十分であり、むしろ高画素化させたCCDより、画素ピッチに余裕があるのは精神衛生上よいと言えます。
ボディだけだと3万円台から買えます(2008年10月現在)。これと、新発売のタムロン18-270mm F3.5-6.3を組み合わせるのもお勧め。レンズが6万円ほどするので、合わせると10万円近くなりますが、機動性のよいセットになるでしょう。
これに、後からシグマの30mm/F1.4を買い足せば、ほとんどのシーンで満足のいく写真が撮れるはずです。


ズバリ! こんな組み合わせはいかがでしょう

すでに35mmフィルム一眼レフをお持ちで、交換レンズ資産が豊富にある場合はそのメーカーのデジタル一眼に移行するのがいいでしょうが、大したレンズ資産はなく、メーカーを乗り換えてもいいのであれば、こんな組み合わせで買ってみてはいかがでしょうか。

SONY α300+タムロンの18-250mm&シグマ30mm/F1.4

液晶モニターがチルトするα300はSONYの中でもっともお勧めの機種です。
ボディ単体が5万円弱。常用レンズとしてタムロンの18-250mm/F3.5-6.3をつけるとプラス約45000円で、合計95000円。予算があれば、これに暗いところでの撮影用としてシグマ30mm F1.4 EX/DCを追加します。これが実売価格4万円弱。(以上、08年10月価格コム調べ)
合計13万5000円弱
シグマ30mm F1.4 EX/DC
単焦点標準レンズ。F1.4の明るさを持つデジタル一眼専用レンズは稀少(というか、現時点ではおそらく唯一の存在)。フォーサーズも含めて全社マウント用あり。HSM搭載モデルは、ボディにAF用モーターを内蔵していないNikon D40でもAFが可能。φ76.6mm x 59mm。430g。実売価格は4万円弱。

SONY α300+タムロン17-50mm 全域F2.8

ボディ本体が5万円弱。これにタムロンSP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical [IF] (Model A16) (実売最安価格3万5000円強)を組み合わせます。全域F2.8ですから、純正レンズキットより、暗い場所で威力を発揮します。
純正のズームキット(約5万4000円)より3万円強ほど高くなりますが、室内撮影が多い人にはレンズの明るさ重視でこちらのほうがいいでしょう。
合計約8万5000円
後から屋外望遠用にタムロンの18-250mm F3.5-6.3(約4万3000円)を買い足せば、さらに強力。
タムロン タムロンSP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical [IF] (Model A16)
全域F2.8のデジタル一眼専用ズームレンズ。最短撮影距離28cm。φ73.8mm×83.2mm。445g。実売価格4万円前後。

PentaxK200D+タムロン18-250mm

ペンタックスのベーシックモデルK200D(実売最安値4万8000円)を選ぶ場合、まずは楽しみ重視で、タムロンの18-250mmという超広域ズーム(4万7000円)を組み合わせます。
合計9万5000円
タムロン18-250mmタムロン AF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro (Model A18)
長さ84.3mm、430g。他社には今のところ真似できていない超高域ズーム。

明るさ重視で行くなら、シグマの18-50mm、全域F2.8(4万5300円)という組み合わせにします。
合計9万3500円
シグマ18-50mm F2.8 EX DC MACRO
全域でF2.8の明るさ。最短撮影距離28cm。φ74.1mm x 84.1mm。重量445g。全社マウント用あり。
最初に18-250mmを買ったなら、後から室内用にシグマの30mm/F1.4を買い足すという手もあります。

D40ダブルズームキットII+シグマ30mm/F1.4

D40ダブルズームキットII 5万4300円+シグマの30mmF1.4 EX DC HSM(4万円)
合計9万4300円

D40ボディ単体+タムロン18-270mm

D40ボディ単体 3万4300円+タムロンAF18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC LD Aspherical [IF] MACRO (Model B003)約6万円
合計9万4300円

後からシグマのF1.4/30mm(4万円弱)を加えると、
合計13万4300円
レンズだけで10万円を超えてしまいますが、最強レンズ2本を持つことで、あらゆるシーンに柔軟に対応できます。
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