たくき よしみつ の たくき よしみつ(鐸木能光)のデジカメ・ガバサク談義 ガバサク

ミラーレス一眼を買うならAPS-CサイズCMOS機

撮像素子の小さいミラーレスをわざわざ買う意味が分からない

私は基本的には今でもミラーレス一眼にはそれほど食指が動きません。その理由は、
といったところです。
しかし、コンパクト機では絶対に撮れない被写界深度の浅い(背景をぼかした)アート志向の写真を撮りたくて、なおかつ一眼レフの重さ・大きさは耐えられない、という場合はミラーレスの軽さは魅力的です。
性能的にも数世代前の従来型一眼レフに勝っているミラーレスは出てきているので、1台あれば重宝するでしょう。
しかし、どう考えても、撮像素子が小さいミラーレスの存在意義が分かりません。ペンタックスのQシリーズなどは低価格コンパクト機と同じ1/2.3型ですから問題外。ニコンの1型でも小さすぎて背景がぼけません。
オリンパスとパナソニックが採用しているマイクロフォーサーズ(撮像素子面積は従来のフォーサーズと同じ4/3型)でぎりぎり多少はぼけるかなという感じですが、コンパクト機では撮れない写真を撮るためにミラーレスなどという面倒くさいカメラをわざわざ買おうというわけですから、買うなら一般的一眼レフと同じAPS-Cサイズ以上の撮像素子を持つモデルしかありません。
で、それは具体的にはソニー、フジ、キヤノンなわけです。

2015年2月時点でそれぞれベストバイを1台ずつ選べば、

ソニー α NEX-6+ E 50mm F1.8 OSS SEL50F18 (最安値約7万円)
フジフィルム X-E1+フジノンレンズ XF35mmF1.4 R (最安値約8万円)
キヤノン EOS M2 ダブルレンズキット (最安値約5万円)

あたりでしょうか。

NEXは5シリーズがもっと安く出ていますが、できることならビューファインダーがほしいところです。
50mm/F1.8をつけたNEX-5R
50mm /F1.8単焦点レンズをつけたNEX-5R
フジフィルム X-M1ダブルレンズキット
フジフィルム X-M1 ダブルレンズキット

使いたいレンズがない、あっても高い


次に、使いたいレンズがあるかを調べると、専用レンズには明るいズームレンズがほとんどないのです。
フジはXF16-55mmF2.8 というのが出ましたが、軽く12万円超えの高嶺の花。
ソニーはキット用のF3.5-5.6がいちばん明るいというありさま。
では単焦点レンズは、というと、フジは27mm/F2.8というのがあり、ダブルレンズキットについてきます。ソニーは20mm/F2.8、35mm/F1.8、50mm/F1.8、24mm/F1.8、16mm/F2.8と豊富な上、シグマがソニーのEマウント用レンズをいろいろ出しており、30mm/F2.8、19mm/F2.8が1万円台で買えます。ただし手ぶれ補整機能がありません。
一押しはソニーの50mm/F1.8 OSSで、これは2万円台で買える明るい中望遠レンズとして、ポートレート撮影や花の撮影などに威力を発揮します。
というわけで、レンズ込みで考えていくと、やはり高額出費を覚悟しなくてはなりません。

フジはレンズをいろいろ出してきているので、いちばん安いボディを買って、単焦点レンズで安く出ているのを中古込みで探しながら組み合わせる……という方法がありそうです。
SONYはNEX-5R、5Tのレンズキットが安く手に入ればそこから始めて50mm/F1.8 OSSをつける。ファインダー付きのNEX-6が安く手に入ればそれに越したことはない……という感じでしょうか。

ちなみに、どちらもマウントアダプターを買えば従来のマウントのレンズが装着できますが、それならボディも従来の一眼レフでいいじゃないの……と、どうしても思ってしまいます。少しでも小さく、軽くしたいからミラーレスを選ぶのであって……ねえ。

ミラーレスは本当に必要なのか? ⇒こちらにさらなる考察とシミュレーションテストを掲載しました。
機種名撮像素子面積
最高解像度
キットズームレンズ単焦点レンズAF方式シャッター速度本体重量その他・備考
ソニー αNEX-5R
ソニー αNEX-5R
ズームレンズキット

Amazonで調べる
23.5×15.6mm
4912 x 3264
(総画素数
1670万画素)
F3.5-5.6
16-50mm
(約24〜75mm)
F1.8
50mm
(約75mm)
ファストハイブリッドAF
(位相差検出方式/コントラスト検出方式)
30〜1/4000秒 110.8×58.8×38.9mm
本体約276g
(バッテリー、メモリーカード含む)
コンパクトボディにソニーの誇る最新技術を詰め込んだ人気モデル。特にAFの速さは定評がある。
ズームレンズキットは約5万円(2013年8月時点、アマゾン調べ)。後継機種NEX-5Tが出たが、中身はほとんど変わらなかったので、価格が下がった5Rを買うのが絶対正解。
単焦点レンズとしてシグマの30mm/F2.8などがあるが、シグマ製Eマウントレンズのほとんどは手ぶれ防止機能がついていないので、追加で組み合わせるレンズとしてはソニー 50mm/F1.8 OSSを推奨。
2万円台と価格も手ごろな上に、F1.8の明るさと手ぶれ防止機能で、キットズームレンズでは撮れない上品な背景ぼけの写真が撮れる。ダブルズームキットについてくる望遠ズームは暗いので、どれだけ使う機会が多いかよく考えたほうがいい。望遠撮影が多い人は、タムロンから18-200mmというズームレンズ(これは手ぶれ防止機能付き)も出ているので、普段はそれ1本をつけておくという方法もあるがレンズは当然のことながらでかい。価格も5万円以上する。
ボディの色は黒、白、銀の3色。

フジフィルム X-M1
ダブルレンズキット
Amazonで調べる
23.6×15.6mm
4896×3264
(総画素数
1650万画素)
F3.5-5.6
16-50mm
(約24〜75mm)
F2.8
27mm
(約40mm)
TTLコントラストAF
AF補助光付
30〜1/4000秒 116.9×66.5mm×39.0mm
本体約330g
(バッテリー、メモリーカード含む)
フジならではの高性能高画質を期待できる1台。単焦点レンズを使いたいので、買うならダブルレンズキットしかありえない。ダブルレンズキットは8万円台(2013年8月現在)だが、ボディ単体+単焦点レンズを買うよりはるかに安いので、買うなら迷わずにこれ。ソニーはなんか嫌いだ、いろいろ技が使えてカメラらしいカメラがいい、というかたに。
色は黒、黒/銀、茶/銀の3色。


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