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幸せビンボー術

移動手段(2)

ビンボーさんにとって最強の移動手段は中古の軽自動車

田舎暮らしでは欠かせないのが自家用車ですが、中古住宅物件の選び方(1)でも述べたように、自家用車を所有することは大変お金がかかります。
なにせ、所有しているだけでも税金や保険料、車検代がかかる上に、自動車を長く大切に乗ると自動車税を重課税するというとんでもない悪法でいじめられるのですから、たまったものではありません。
嘆いたり怒ったりしているだけではどうにもならないので、ビンボーさんがとれる具体的な方策を考えていきます。

田舎暮らしと自動車

 中古住宅物件の選び方(1)で、「田舎といっても、タクシーを呼べるくらいの場所であれば、車を持たない生活も不可能ではない」ということを説明しましたが、それは普段あまり外出しなくてもいい生活が前提です。
 公共交通機関に頼れない田舎では、やはり自家用車は必要です。使う機会や走行距離が少なくても、買い物をしないわけにはいかない、役所や病院に行かなくてもいいというわけにはいかないからです。
 田舎では、クルマは一家に一台ではなく、一人一台です。
 そういうと、都会人は驚くかもしれませんが、田舎ではそれがあたりまえですし、それが可能な環境もあります。
 まず、都会と違って、駐車場代というものがいりません。家の敷地内にクルマを複数台とめられるのはあたりまえですし、大型スーパーなどに買い物に行った場合なども、駐車場料金を取られることもありません。
 コンビニの駐車場も広大で、大型トラックが複数台停まっていても余裕ですし、駅前に無料の駐車場があって、駅に車を乗り捨てたまま電車に乗ることも普通にできます。
 私の家から2.8kmのところにJR日光線の駅が、3.2kmのところに東武日光線の駅があり、どちらも無人駅ですが、駅のそばの駐車場に無料で駐車できます。
 クルマで20分ほどの新鹿沼駅は、東武線の特急が停まるのでたまに利用しますが、駅前の駐車場は、平日入庫後24時間最大600円、土日祝日でも800円です。朝、クルマで駅まで行き、特急に乗って楽々東京まで出かけ(北千住まで特急で1時間10分ほど)、夜遅く帰ってきても、駅前駐車場に支払うのは600円だけです。
 イオンなどの商業施設でも、駐車場は常に空いていて、無料です。病院やコンビニの駐車場が狭くてクルマを入れるのに苦労するなどということもありませんし、もちろん無料です。
 宇都宮の市街地まで行けば別ですが、渋滞というのもまず経験したことがありません。ちなみに私が住んでいる地域には信号機というものがありません。
 私は川崎市の郊外(最寄り駅は鷺沼、宮崎台、百合丘など)に長年住んでいましたが、その頃よりも生活ははるかに楽です。
 いちばん近いコンビニとスーパーまで5kmあるのですが、そこにクルマで行くことになんのストレスも感じません。川崎市に住んでいたときは、2km離れたスーパーに買い物に行くのも大変でした。土日は駐車場からはみ出したクルマが道を塞いで動きがとれなくなったり、ようやく駐車できても、駐車料金がかかるので、2000円以上買い物をしなくちゃ、とか、1時間を超えないようにしなくちゃ、といった神経を使いながら買い物をしていました。そういう息苦しさからは完全に解放された生活なのです。

日本には軽自動車がある!

 しかし、自動車の購入費や税金、保険料、燃料代、車検代、修理代といった費用は、田舎でも都会でも同じようにかかります。
 ビンボー生活で自動車関連の費用を低く抑えようと思ったら、この部分を抑えるしかありません。
 これらを低くする決定打は「軽自動車を選ぶ」ことです。
 自動車税は普通自動車が年間3万9500円(2019年9月以前に新車登録された登録から13年以下の1500cc~2000ccのクルマ)に対して、軽自動車は10800円です(これも以前は7800円でしたから、大幅値上げですが)。その差は2万8700円。その他、重量税なども軽自動車のほうが安いので、基本の維持費がグンと下がります。
 さらにはタイヤや消耗部品などの値段が安いですし、整備も楽です。寒冷地では冬季はスタッドレスタイヤに履き替えるのが常識ですから、タイヤの値段の差はかなり大きくのしかかります。
 最近の軽自動車は室内も広く、生活の道具としては気持ちよく使えますし、小回りやすれ違いが楽なので、田舎の山道などでも運転のストレスが減ります。
 普通乗用車が「動く居住空間」「重たい部屋」という感覚で、いちいち接するのに身構えてしまうのに対して、軽自動車は「道具」「下駄代わり」という感覚で、気楽につきあえます。急な登り坂で非力さを露呈しても、「あ~、この坂はちょっと苦しいか。頑張れ!」という愛情が湧くのです。
 軽自動車というのは日本独自の規格ですが、世界に誇れる独自文化でしょう。この愛らしくも合理性の塊のような道具を使わない手はありません。

軽でも新車は高い

 しかし、最近の軽自動車はどんどん豪華になり、価格が普通乗用車とあまり変わらなくなりました。
 軽自動車の高性能化に伴って1200cc前後の小型乗用車が売れなくなったこともあり、今では小型乗用車よりも新車価格の高い軽自動車がザラにあります。
(1317ccの)ホンダ フィット 1,557,600円~
(660ccの)ホンダ N-ONE 1,599,400円~

↑小型車のフィットより軽のN-ONEのほうが最安グレード車の価格が高い


 こうなると、軽自動車を選ぶにしても、ビンボー生活にとって新車はきついな~、ということになります。

中古車で十分だ

 「中古車をちょこちょこ買い換えるより、新車を買って乗りつぶしたほうが経済的」などと言われた時代があります。
 しかし、新車価格が高くなった現在、田舎でのビンボー暮らしではそんなことは言っていられません。
 というわけで、狙うのは中古の軽自動車なのですが、軽自動車は田舎ほど需要があるため、中古でもなかなか価格が下がらないのですね。
 私は還暦を過ぎてから初めて軽自動車を購入したのですが、そのときは日光市から埼玉県鴻巣市の中古車屋さんまで出かけて買いました。
 中古車屋は埼玉県や千葉県に数が多く、激安車も見つかりやすいのです。地元の日光市や宇都宮市ではなかなか見つけられないようなお買い得車が、埼玉や千葉にはゴロゴロあったりします。
 このとき購入したのは10年落ちのスズキ アルトラパン 4WD(走行距離:7万2700km)で、車両価格は17万円、登録諸費用などを入れて24万円ちょうどで、オマケとしてアルミホイール付きのスタッドレスタイヤ4本組を5000円でつけてもらいました。
 その後、最初の車検を迎えるまでの2年間で、ビスカスカップリングの交換とエアコンの修理をしましたが、どちらも5万円以下の費用で済みました。
 これらの修理代やメンテナンス代約10万円を購入価格に加算したとしても、新車を購入するより100万円以上安いのです。新車を購入した満足感や安心感に100万円を支払うかどうか……という判断になるわけです。
 日本の軽自動車は丈夫で壊れませんし、故障したとしても軽自動車なら修理代も大したことにはなりません。
 この価格差を考えれば、新車を1台買うよりも中古車を2台持っていたほうがいいということになります。


マツダ キャロル660GS 2010年型 走行3.5万km 修復歴なし 18万円(諸費用を入れた支払総額24万円)で売られていた
キャロルはスズキ アルトのOEM。アルトは有名だが、OEM(スズキが生産してマツダに卸している)車種は検索しない人もいて、本家?より少し安い価格がつけられているケースが多いので狙い目。

「燃費」の差についての考え方

 我が家の10年落ち・17万円のラパンに関しては、運動性能や乗り心地については不満はありません。古い4WD(ビスカスを使ったいわゆる「なんちゃって四駆」)なので燃費は悪いのですが(12km/㍑くらい)、最新の軽自動車の実用燃費が20kmだったとしても、ガソリン代の差額で車両価格の差額が埋まることはありません。
 我が家の今の生活では、このクルマを買い物程度にしか使っていません。1回で往復15kmの走行を週に1回したとすると、年間で15km×52回、切りのいいところで60回としても900kmにしかなりません。計算しやすくするために、もう少し余裕を見て年間1200km走るとしましょう。燃費12kmで年間1200km走って、ガソリン代が130円/㍑だとすると1万3000円です。これを、燃費が20km/㍑の最新型軽自動車で走ったとしても、ガソリン代の差は5200円/年にしかなりません。10年でも5万2000円ですから、新車と中古車の価格差(100万円以上)を埋めることなど到底できません。
 燃費の差による恩恵というのは、長距離を乗る人にしか実感できません。通勤で片道10km・往復20kmを年間300回走る人だと年間6000kmです。倍の片道20km・往復40kmを毎日走る人だと年間300日で1万2000kmです。片道20kmというと、日光市の我が家からだと宇都宮の街の中あたりまでです。そこに毎日通勤している人だと、通勤だけで年間1万2000km走ることになります。この場合、上記の年間1200kmしか走らない人に比べ、燃費の差によるガソリン代の差は10倍になりますから、年間で5万2000円、10年で52万円です。つまり、年間1万2000キロ走る人が10年乗る(12万キロまでは買い換えない)というレベルでも、まだ新車購入時の100万円の価格差を埋めることはできないという計算です。
 走行距離7万キロの中古車を年間1万2000km走らせると10年で19万キロに達しますので、その間にはもう1台くらい乗り換えるかもしれません。それでも2台目がまた20万円くらいのクルマなら、十分お釣りが来ます。
 要するに、田舎暮らしでも、クルマにあまり乗らなくてもいい生活(長距離通勤しておらず、買い物や役所、病院などへの往復にしか使わない生活)であれば、新車を買うのは損、ということです。
我が家の17万円のラパン 購入後、レザーシールで丸目に化粧直ししたり、いろいろ楽しみながら乗っている。

不人気車を狙う

 軽自動車は日常生活の足としては最高ですが、高速道路を使った長距離移動や家族4人とか5人乗せたドライブなどでは、どうしてもストレスが溜まります。
 そこで、余裕があれば、軽自動車以外に、広さのあるワゴン車なども所有して使い分けたいところですが、その手のクルマは大変人気があって、中古車でもなかなか値が下がりません。
 ここでまた考え方を少し変えてみましょう。
 新車の値段は、ほとんどが車の製造コストで決まります。人気車種で売れそうだから、スケールメリットを計算して若干安く設定するとか、逆に、高くつけてもこの手のクルマは売れるはずだから高くしよう……ということはありますが、基本は製造コスト=販売価格です。
 しかし、中古車の価格というのはまったく違います。「人気」と「需要」で決まります。性能がいいとか、年式のわりに程度がいいといった要素はほとんど価格に関係しません。売れるかどうか。人気があるかどうかで決まります。
 まったく同じ車種、グレード、年式、走行距離であっても、色が違うだけで値段が大きく違ったりします。
 つまり、「不人気」のクルマはグレードや程度がよくても安いのです。
 例えば、ミニバンは大人気で中古車でも値崩れしませんが、セダンは不人気なので、高級車でも中古車市場では安い価格で取引されています。
 現代では昔ながらの4ドアセダンは、お偉いさんが運転手つきで乗るような用途が多く、庶民は最初から購入候補から外してしまいます。そもそもお金持ちは中古車を買いませんから、ますます4ドアセダンは売れません。
 4ドアセダンは走行距離があまりいっていないクルマが多いので、10年落ちでも3万キロ程度というきれいなクルマ(ブルーバードシルフィやティーダ、カローラあたり)が15万円くらいでよく売られています。割り切れるならそういう探し方もアリでしょう。

 荷室が広くないと使いづらいし、普通車を買う意味がないというなら、ミニバンを諦めてステーションワゴンタイプを捜すといいかもしれません。ステーションワゴンでも、スバルのレガシーのような人気車はなかなか安くなりませんが、日産のADやトヨタのプロボックス、マツダのファミリアバンなどは、商用車として見られることが多いため、程度のいいクルマが20万円前後くらいでよく出ています。

 さらには、中古車市場では、一部の外国車は国産車よりずっと人気がないので、驚くような安値で売られています。
 私はプジョー307SWというステーションワゴンを所有していますが、新車価格が370万円くらいする総革張り内装・フル装備の特別仕様車が、まだ走行距離4万キロ台のきれいな状態で37万5000円でした。
 外国車は修理が大変だというイメージがあって、中古市場ではまったく人気がないのです。特にプジョーやシトロエンなどのフランス車は、メルセデスやBMW、アウディといったドイツ車に比べると、中古市場では驚くほど安く売られています。
 ドイツ車でもフォルクスワーゲンのステーションワゴンなどは、同グレードの国産車(レガシーやプレマシーなど)に比べると半値以下の価格がつけられているのが普通です。
 確かに外国車はつまらない故障が多く、修理もよく分かっていない修理屋さんに任せると心配な部分があるのですが、昔に比べれば国産車と外国車の故障確率はそれほど差がなくなっています。ドイツ車に比べるとフランス車は交換部品が安いという利点もあります。
 運転感覚は国産車とはまったく違ってきびきびと爽快なので、運転しているときの満足度も高いですし、安くても貧乏くさくない気分が味わえます。

ボルボ S40 サンルーフ・パワーシート・アルミホイール
2007年式、7.0万キロ、車両本体価格11万円。車検整備して諸費用込みで28万円
贅沢な気分が味わえる買い物。

 どうしても背の高い、荷室の広いクルマがほしい、だけどお金はない、という場合は、商用車を狙うという手もあります。
 私は日光に引っ越しをするためだけにワンボックスのバネットバン(マツダ ボンゴのOEM車)の中古を買って1年間だけ乗ったことがありますが、購入価格は諸費用を入れても20万円程度でした。乗用タイプのミニバンに比べれば乗り心地は悪いですが、広大な荷室には自転車も立てたままのせられるので、愛用の電動アシスト自転車を積んで遊びに出かけたりもしました。
 この手のクルマはキャンピングカー的な使い方もできますし、その気になれば安く楽しめます。

リース会社が放出した11万5000km走行のバネットバン。この手の商用車は需要があるのであまり値崩れしないが、相場価格より10万円くらい安く買えた。所有していた1年あまりでトラブルは1度もなかった。



引っ越しのときには大量の荷物をフラットな荷室に詰め込むことができて活躍した。


引っ越し後は、ときどきこうして涼風号を積んで遊びに出かけたりもした。 これだけのフラット空間があれば、ちょっとしたキャンピングカーにも改造できそうだ。

 ……とまあ、視点を変えれば、いろいろな解決策が見えてくるものです。

趣味のクルマ

 ここまでは「とにかく安くて合理的なクルマ生活」という視点で述べてきました。
 しかし、クルマというものは、実用性や合理性だけで割り切れない要素があります。田舎に住むということは「クルマ生活を楽しむこと」だという人もいるでしょう。
 私もそうです。クルマ選びには相当こだわりがあります。
 しかしこれは論点の基準や価値観が変わってくるので、次の項に分けましょう。

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