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幸せビンボー術 16

デジタル道具(2)

通信環境を基本から考える

田舎生活ほどネット環境が必要ということは、これまでにも何度も強調してきました。昔は生活の基本要素を「衣食住」などといいましたが、今は「衣」はどうにでもなるので「食住」でしょう。
この「通信」環境については、日々刻々と変化・進化しています。その変化に振り回されすぎないよう、通信環境に対する基本的な考え方をまとめてみます。

何はなくとも光回線

 家でインターネットを利用するのに必須なのは高速インターネット回線です。
 インターネット回線は、大きく分けると、光回線(FTTHという)、無線回線(現在はほぼWiMAXのみ)、ケーブルテレビ回線(J:COMなど)の3種類があります。
 他に、NTTが昔に敷設したISDNやADSLといった電話回線を使ったものがごく一部に残っていますが、これはもう過去の遺物といえます。
 WiMAXは田舎ではほぼ使えない(サービス範囲外)と思ったほうがいいですし、ケーブルテレビ回線も光回線に比べると速度が遅いので、迷わず光回線を選ぶことになります。言い換えると、光回線が引けないほどの僻地に住むのは、仙人のような生活を楽しむ覚悟を持たないと無理です。
 日本での光回線の6割以上はNTT(東日本・西日本)のフレッツ光です。田舎だとほぼこの一択だと思ってもいいでしょう。他にau光、NURO光、eo光(関西のみ)、BBIQ(九州のみ)、コミュファ光(東海地方のみ)などがありますが、関東以北の田舎ではau光が引ける地域があるかもしれないという程度で、ほとんど選択の余地がありません。
 他に「光コラボ」と呼ばれるBIGLOBE光、@Nifty光といったものがありますが、これらはすべてプロバイダーがNTTの光回線を借りて行っているので、独自回線ではありません。性能的にはNTTフレッツ光と同じなので、料金などを調べた上で選べばいいでしょう。
 ただ、「光コラボ」と呼ばれるプロバイダ料金と一括支払い形式ですと、NTTの回線自体がトラブルを起こしていてもNTTが障害報告を受け付けてくれず、契約しているプロバイダー窓口経由でないと原因調査や復旧作業をしてくれません。NTTの故障受付はほぼ24時間対応ですが、プロバイダーの障害受付は土日や夜間が休みだったりしますので、これが原因で復旧が遅れるということがあります。
 私は一度これを経験しました。状況からして明らかにNTT回線そのものの障害なのに、NTTが「光コラボのお客様からは受け付けられません」と、調査さえ拒否するのです。1日待ってプロバイダーに連絡⇒プロバイダーからNTTへ照会⇒NTTが調査して、やはりNTT管轄内の障害だと分かってNTTが対処⇒復旧⇒その後プロバイダーから連絡……という余計なリレーを経なければなりませんでした。
ひかり電話
 NTTの場合、従来の固定電話と同じ0から始まる10ケタの電話番号(東京なら03-xxxx-xxxx)が割り振られた「ひかり電話」というオプションがつけられます。今では固定電話の多くがこれで、2014年頃に従来の電話回線固定電話を上回りました。この「ひかり電話」は「0ABJ型IP電話」と呼ばれるIP電話の一種ですが、多くの人は従来の固定電話との区別ができていないかもしれません。
 商売をしている人などは、これはつけておいたほうがいいです。業務登録などで「固定電話を所有していない事業者は登録できません」と言われることがありますし、未だに「従来型の固定電話の番号のほうが信頼できる」と感じる人が多いからです。基本料は1回線につき月額500円(税別)ですから、それまで従来型電話回線契約をしていた人は経費も下がるので乗り換え必須です。
Wi-Fiルーター
 光回線の工事が済んだら、PCはLANケーブルでルーターに直接つなぎ、さらにWi-Fiルーターを接続してWi-Fi環境を作ります。家庭内でのスマホやテレビなどはすべてこのWi-Fiに接続すれば、追加の費用がかからずにネット接続がサクサク行えます。Wi-Fiルーターも、可能な範囲で強力なやつを設置しましょう。光回線に5000円程度の安くない料金を支払っているのですから、徹底的に使い倒さなければ損です。
左はNTTがレンタルしているひかり電話兼用のルーター。右はWi-Fiルーター。以前はこれに050電話用のVoIPユニットもついていたのだが、使わなくなって撤去した。ルーターからは有線LANでつながっているPCが4台。Wi-Fiは2台のスマホ、タブレット、階下のテレビが接続。


 

光回線を引く場所


 光回線を初めて引くときは、回線をどういう経路で引いて、ソケットをどこに設置するかをよく考えておきましょう。後から移動させるのは難しい(再工事を依頼するとかなりの金がかかる)からです。
 まず、家に引かれている電線を確認します。電線が引き込まれている電柱を見て、電線より下に黒くて細長い箱のようなものがついている線が走っていれば、それが光回線です。この状態であれば近所にすでに光ケーブルが引かれているので、そこから分岐させて引き込む形になるでしょう。

これが光回線のケーブル
 それらしいケーブルがなければ、NTTはその家まで新たに光ケーブルを引いてくることになります。この場合も既設の電柱を利用しますので、電気の供給線が引き込まれている経路と並行して引き込むことになるのか、それともまったく別のルートで引き込んだほうがスマートなのかを考えます。

 工事の際、ソケットをどこに設置するかと訊かれます。既設の電話線用の引き込みパイプなどがあればそれを利用することもありますが、そうでなければ壁に穴を開けるなどして室内に引き込みます。ソケットの取り付け位置をしっかり考えておかないといけません。
 ソケットから先にさらにルーターやWi-Fiルーターをつなげるわけですから、ルーターの置き場所、Wi-Fiの電波を飛ばしやすい場所という点も考慮に入れなければなりません。
 ルーターからPCまではLANケーブルでつなぎますので、その配線がしやすいかどうか、見栄えが悪くならないようにケーブルをうまく隠せるかどうかも重要な要素です。

光ケーブルのソケット。ルーターやPCの配置も考慮して場所を決める。

 ともあれ、光回線さえ引ければ、通信環境については9割方OKです。
 あとはスマホなどのモバイル通信環境をどうするかですが、これはかなり複雑な問題をはらんでいるので、次の項に分けます。
引っ越しを前に、何はなくとも光回線……と、NTTに工事を依頼。(2011年11月)

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