オーディオ趣味は、ビンボーさんでもデジタルアンプやスピーカーの自作といったお金のかからない遊び方ができました。しかし、写真趣味となるとそう簡単ではありません。カメラは光学機器というよりも「高額」機器です。数十万円もカメラにつぎ込めないビンボーさんには、どういう楽しみ方があるのでしょうか。
カメラは高い、レンズも高い
オーディオと並んで、中高年にとってカメラ道楽、写真撮影は趣味の王道といえます。
しかし、困ったことに、カメラは高いのです。しかも、カメラがフィルムへのアナログ記録から撮像素子(センサー)でのデジタル記録に変わってからも、オーディオ趣味におけるデジタルアンプのようなビンボーさんにとっての救世主は現れませんでした。
むしろ、デジカメ時代になって、カメラの性能は以前よりも残酷に「値段に比例」するようになりました。
スピーカー自作のようなDIYも通用しません。しかも、カメラメーカーはどんどん事業を整理してカメラを作らなくなりました。安くてもなんとか使えるカメラはどんどん生産終了となり、今やカメラ業界は富裕層相手の高額な商売の典型のようになっています。
カメラの性能はレンズ(完全なアナログ製品)と撮像素子(CMOSなどのセンサー)でほぼ決まります。このどちらも、性能がよいものは高いのです。
私が目下、最も性能のよいカメラの一つとして考えているのはSONYのα7S IIIという1210万画素フルサイズセンサーを持つカメラです。このカメラは40万円くらいします。
これに組み合わせるレンズとして、最も汎用性のありそうなFE 24-70mm F2.8 GMというズームレンズは25万円くらいします。300mmまで伸びている望遠ズームもほしいな、と思うと、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSがおよそ15万円です。合わせると80万円です。我が家の中古プジョーが2台買えます。中古ラパンなら4台買えます。……無理です。
SONY ズームレンズ FE 24-70mm F2.8 GM
私はデジカメ関連の本を今まで4冊くらい出版し、朝日新聞やPC雑誌などでデジカメ写真の連載記事も書いてきました。しかし、未だにフルサイズセンサーのカメラは持っていません。ビンボーさんである私は、頑張っても中古のAPS-Cサイズセンサーのカメラしか買えません。普通のカメラマニアなら「おまえ、よくそんなんで写真のことを語れるな」と呆れることでしょう。
はい。だからこそ、こうして書いています。ビンボーさんでもなんとか写真趣味を楽しめないか……という苦肉の方法論を。
「日常写真家」という割り切り
プロカメラマンであれば、フルサイズセンサー機を持つのは、ランナーがシューズを買うようなものであたりまえのことです。
私は一趣味人としての立場でデジカメ写真の撮り方などを書くことを仕事の一部にもしてきましたので、プロカメラマンではない「日常写真家」と自称しています。
安いカメラでも人の心を動かす写真は撮れるし、そういう工夫を重ねていくことでも写真撮影趣味を楽しむことはできます。
「
デジカメに1000万画素はいらない」とか、「
デジカメ写真はガバッと撮ってサクッと直す」といった主張やスローガンも、そうした精神から出てきました。
詳しくは私のサイト
「デジカメ ガバサク談義」をご覧ください。ビンボーさんでも写真趣味は楽しめるし、極められるという主張を具体的に展開しています。
↑ プロカメラマンに「これはすごい」と言わしめた写真。
↑ 上のタヌキの写真と同じ手法で、仰角撮影した例。元画像は1280×960で123万画素しかない。2004年9月、まだ手ぶれ補整機能などなかったSONYの初期のデジカメで撮影。
↑ NHKのテレビ番組で、林家ペー・パー子夫妻を生徒役にして神楽坂をロケしたときにサクッと撮った1枚。これも元画像が123万画素しかない写真。かつての低画素のカメラのほうがむしろ明るく階調の深い写真が撮れた。
まずは使いやすく、性能もそこそこいいコンパクトカメラを1台持ちましょう。私は起きてから寝るまでずっと、コンパクトカメラを腰からぶら下げて生活しています。ほとんどの人は、スマホで済ましていると思いますが、撮り方を工夫しているうちにスマホでは満足できなくなるはずです。
そこで必要なのは「
スマホよりはいい写真が撮れそうだけれど、ポケットに入るくらいの小さなカメラ」です。それがビンボーさんでも楽しめる写真道の入口だと思います。
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