タヌパック短信 40

■「ありがとう」の歌CDに




 久々にタヌパックレーベルの新譜CDを発表しました。僕が20代から30代前半頃にかけて作った歌の中から、女性歌手が歌ったものばかりを集めたもので『セカンド・アムール たくき よしみつSONGBOOK2 女性VOCAL作品集』という長いタイトルのアルバムです。
 このCDの最後に、以前にもここで報告した、『ありがとう』をボーナストラックとして収録しました。広島の「天才詩人」栗栖晶さんの詩に僕が曲をつけた歌です。
 あの歌への反響は大きく、単なるデモテープではなく、きちんとCDに収めて残しておきたいと思っていました。でも、作れば作るほど赤字のタヌパックとしては、シングルCDというわけにはいきませんでした。
 収録するにあたり、誰に歌ってもらうか、アレンジはどうするかなどで相当悩みました。
 候補に挙がった歌手は6人。話を持ちかけたものの、結局こちらから断ってしまったりして、最終的にはジャズシンガーの清水翠さんにお願いしました。あっさり透明な歌い方で、お洒落に仕上がったと思います。
 お洒落すぎて一般受けはしないかなと懸念したのですが、「押しつけがましくなくてかえって感動的」と、評判は上々です。
 栗栖さん本人はこう言ってます。

[たくきさん、うれしいかった。ぼくのしが、ぜんこくの人にきいてもらえるんですね。
おとうさんがね、しあわせすぎて、ばちが、あたらんかのー。いうんよ。(中略)きれいなおんがくになって、きれいなこえで、うたって、すごいとおもいました。がいこくの、おしろのおひめさまみたいなこえをした人ですね。みんなが、よろこんでくれるとおもう。ぼくも、なんべんもきいています。たくきさんは、しみずさんと、ともだちなんですか。いいね。たくきさんと、しりあいになって、とくをしました。(中略)しみずさんに、ありがとうというといてください。あきらくんが、よろこんどったよ。というといてください。CDたのしみにまっています。ゆめみたいです。たくきさんにあえてえかった。ぼくも、たくきさんの、やくにたつにんげんになりたいです。(後略)]

 これはまだCDが出来上がって来る前、録音したものをテープにダビングして送ったときの返事なのですが、この手紙を読んで、少しでも多くの人に聴いてもらいたいなあと、欲が出てきました。
 そこで、最初に栗栖さんとの橋渡し役になってくれた広島市の穐村和恵さんに手紙を書き「今度『ありがとう』を収録したCDを作るのですが、PR部隊広島支部長をやってもらえませんか?」と頼んでみました。
 穐村さんは喜んで引き受けてくれて、中国新聞がカラー7段抜きの記事にしてくれるなど、成果もあったのですが、これがどうも栗栖さんには気に入らなかったようです。
 僕が彼にではなく、穐村さんに「支部長」を任命したというので、完全にふてくされてしまったのです。
「あきむらさんはええね。たくきさんはぼくよりあきむらさんのほうがたいせつなんじゃね。ぼくはどうせしんせつじゃないし……」と、ふてくされまくっていた(広島弁では「はぶてる」というらしい)そうです。
 予想外の反応に「あきらくんは広島本部長として、支部長をしっかり働かせてください」とフォローしたものの、なかなか……。

[(前略)ほいじゃが、たくきさんは、ええ人ですね。どうして、ぼくに、しんせつにしてくれるんですか。ぼくのことをしらんのに、そんをするよ。ふしぎです。でも、ぼくは、大すきです。にんげんの、においがするけー、大すき。ぼくは、あたまがええけーわかる。やしまさんや、てらおさんとおなじにおいがする。しぶちょうのことは、もうええ。あきむらさんは、たくきさんを、しょうかいしてくれた人じゃけん、がまんをする。ぼくにしんせつにしてくれるし、がまんをする。でも、あきむらさんを、いちばんたいせつにしたらいけん。ぼくがいちばんで、あきむらさんは、2ばんめです。ぼくは、ほんぶちょうにはならん。(中略)たくきさん、ぼくをすてないでください。あきらくんうっとり。と、いうてください。またね。くりすあきらより]

 今まで、女性からは何度か「捨てないで」と言われたことがありますが(ん?)、男から言われたのは初めてです。うーむ。
 そんな「晶くんはぶて事件」も生んだ今回のCD。例によって通販のみです。価格は1800円(送料は1回200円)。お申し込みはこちらへ。CDのタイトルと枚数、送り先住所・電話番号を明記してください。


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