日記 2004/01/26の2

ペンキ塗り

錆びて危険な鉄階段 
AICのコラムで詳しく書いたが、昨年からずっと駐車場下の鉄骨&鉄板構造材と、ベランダの鉄骨&鉄階段の塗装をしている。
どちらも相当錆びていて、一部は穴が空いてしまっている。このまま放置すると危険だし、撤去して作りかえるなんてことになったら数百万円はかかる。ここは踏ん張って、なんとか錆をこれ以上出さないよう、錆止め処理をしなければ……と、重い腰を上げた。
当初、業者に依頼したのだが、工事にやってきた若い職人は肝心の錆落とし(業界用語ではケレンという)をきっちりやらず、いい加減に塗り始めたのでストップさせ、以後の作業は全部自分でやることにした。
ベランダは下塗りの途中、駐車場下はまったく手つかず状態でストップさせた。
上の写真はベランダの階段。すでに職人が錆止めの下処理をしてしまった。
この錆止め塗料はカルシウム系で、安いがあまり効かない。その証拠に、塗った先からすぐに錆が浮き上がってくる。↓
錆止め塗料を塗った先から錆が浮き上がってきたドアの鉄柵

結局、プロに頼んでも肝心なことをやってくれない。パッと見てきれいに仕上がっていればいいという仕事ではやっても意味がない。うちのベランダは外からはほとんど見えないし、駐車場下はまったく見えない。仕上げのきれいさなんてどうでもいいから、とにかくがっちり錆を止めるのが目的なのだ。それは最初に業者にも強く念を押していたのだがこの始末。
階段の下
階段の下に至っては、この通り、錆をきっちり落としてみると、完全にちぎれていた。プラプラ浮かんでいる状態。
塗装業者は「補強まではできない」と言わんばかりに、いい加減に下塗りをしている。
実は、白い塗料の下は土がかぶっていた。きちんと仕事をしようと思ったら、当然その土は取り除いて下地を確認しなければならないが、何もせず、見えているところをちゃちゃっと塗っただけ。
早めに仕事をストップさせてよかった(当然喧嘩になったが)。
こんな調子でやられたら、肝心の錆止めはまったく期待できず、錆びてボロボロのまま、上をちゃちゃっと塗っておしまいになってしまっただろう。下手に安い塗料を塗られてしまった後では、自分できっちりやるにもやりづらくなる。
ベランダを支えている根太(ねだ)はL字鉄骨なのだが、職人は外から見えている部分
(こっち側→ 
しか下塗りしていない。錆びているのは裏側
←こっち側)
なのだから、そこを放置したまま外側だけ塗ってもなんの意味もない。
下から見上げると↓こうだが……、

一見すると塗っているようだが……
板の下はこんなに錆びている↓
裏側はこんなに錆びている

まずは塗料選びから研究した。
ネットで検索すると、近所に塗料専門店があった。
ここのコンテンツを読んで、下地処理剤として錆転化プライマー、錆止め塗料としてデボマリンというのを注文してみた。
デボマリンは超強力な錆止め塗料で、エポキシ系の2液型。鉄橋工事や水槽、船底などに使う特殊な塗料らしい。
塗料と言うよりはペーストで、厚塗りが効き、乾くとかちかちに固まるため、鉄板の穴を埋めたりもできる。ほとんど接着剤に近い。
高いし、ものすごく使いづらい。
駐車場下に使い始めてから、錆のひどいところやこれ以上錆びるとまずい接合部分などにだけ使うことにした。
錆転化プライマーは乳液状で非常に使いやすい。これは赤さび(酸化鉄)を化学反応でタンニン鉄に変化させるというユニークな処理剤。積極的に茶渋を作り、錆止めの膜として利用するという発想らしい。これも高価で、3kg缶が12500円もする。
下は、錆びた部分に錆転化プライマーを塗った翌日の様子。赤さび部分が黒く変色しているが、これがタンニン鉄。
この状態のままでもそこそこの錆止めになるらしい。
錆転化プライマーを塗った後 錆転化プライマーを塗った後

錆転化プライマーを塗った後、乾いたら、浸食がひどい部分にのみデボマリンを厚塗りする。見栄えなどどうでもいいので、とにかくでっぽりと塗る。ちぎれた階段部分はそのままではつながらないので、100円ショップで買ってきた金属綿(フライパンなどを磨くためのもの)をちぎって巻き付け、その上から塗った。おかげででこぼこして見栄えが悪くなったが、乾燥後はがっちり接着され、プラプラしていた階段が元通りになった。
デボマリンで全部を塗るわけにはいかないので(なにしろ固くて伸びない。エポキシ用シンナーで薄めると塗りやすくなるが、それでは効果が落ちてしまい意味がない)、残りはお店の勧めで「ビルド」という塗料を使った。
これは、普通は亜鉛鋼板(トタン屋根などに使う板)の錆を押さえ込んだりする目的で使うらしい。柔らかく、扱いやすい。シンナーなしで十分に刷毛塗りできる。厚塗りすると効果的らしい。
色はシルバーブルー一色しかない。この上から最終的に好きな色の塗料を塗ればいいのだが、別に見栄えはどうでもいいのでビルドのみで済ませた。
ビルドを塗ったベランダを下から見る

ビルドを塗ったところ
結局、駐車場下とベランダを塗り終わるまでには15人工(にんく)くらいかかっただろうか。
使った塗料は、
錆転化プライマー3kg缶(12500円)×2
デボマリン2kgセット(12000円)×3
ビルド4kg缶(5500円)×2
エポクリン(エポキシ系シンナー)×1
その他、ヘルメット、刷毛、防塵マスク、錆落とし用ブラシ、サンドペーパー、プラスチックのミニバケツ、投光器などなど。
ペンキだらけになって使えなくなった上着とズボン2着ずつ。靴1足。

自分でやると、高い塗料を選べるのと、職人が絶対に嫌がるようなところも、気合い次第で塗れるのが利点。普通に業者に頼めば、こんな高価な塗料は絶対に使わない。一般の安い塗料を塗っても、錆はすぐに下から出てくるからあまり意味がない。
外壁の塗装や屋根の塗り替え、葺き替えなどは業者に任せたほうがいいと思うが、錆びた鉄骨などは塗料選びと下地処理(錆落とし)が命。自分で納得のいくようにやったほうがいいということが分かった。

使い終わったデボマリンとビルドの缶↓。デボマリンは2液なので、この2kgの本体塗料(黄色)と別に1kgの硬化剤(黒)がセットになっている。混ぜ合わせると深緑色になる。
使い終わったデボマリンとビルドの缶


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