たくき よしみつ デジタルストレス王(キング) 鐸木能光

2007年4月24日執筆

助教授・準教授・准教授

最近知り合った読者のかたが、某公立大学の准教授で、メールの署名にも「准教授」とある。
そのかたのサイトや職場である大学のサイトを覗いてみたら「助教授」とあった。
ご本人に「準教授と助教授、どちらが正しいんですか?」と訊いたところ、

この4月から学校教育法が変わって,日本では助教授という職階がなくなり,准教授になりました。Webなどでは,修正し忘れているところがあるかもしれません。
助教授は教授の手伝いをすると言う意味で,准教授は職階の差はあっても研究上は対等の立場,と言うことだそうです。名前だけ変えても仕方ないと思うのですが。ちなみに,以前「助手」と言われていた職は「助教」という,これまた訳の分からない名称が与えられました。準教授ではなくて,なぜ准教授というのかはよく分かりません。准は,準の俗字なんだそうですね。このメールを書くに当たって調べて初めて知りました。


とのこと。
それは知らなかった。
でも、准が準の「俗字」というのはおかしい。俗字というのは、吉野家の吉は下が長い「つちよし」です、という類のもので、本来存在していない字のこと。正しくは「略字」だろう。
しかし、「国は國の略字」というのとまったく同じではない。「国」は常用漢字なので標準字体表があり、「国」という字形を使うと決められているが、「准」はそうではないからだ。

ATOK14で「じゅんきょうじゅ」と入力すると「準教授」と変換される。これは以前から国際基督教大学などでは正式な職名として使われていたから、ATOKの辞書にも登録されていたのだろう。しかし、この4月から学校教育法で採用された職名は「準教授」ではなく「准教授」なのである。
いきさつをうかがい知れる資料が→ここ にあった。
「中央教育審議会大学分科会 大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(第13回)議事録・配付資料」というもの。その中に、こんなやりとりがある。

委員  准教授の「准」という字は、このにすいの「准」と「何々に準ずる」という、下に「十」がつく字とあるが、こちらの「准」にした理由は何であったか。
事務局  今までの法制的な職の中には、下が「十」の方ではなくて、例えば「准看護婦」とか、軍隊であれば「准尉」とか、そうした形でにすいの方が職名としては法律上用いられているという指摘があり、そういったこれまでの経緯を踏まえれば、にすいの方が適切ではないかということで、今回、にすいの「准」を使っているところである。意味はほぼ同様である。

……変なの。
売れない作家は「准作家」とでも呼びますかね。
……なんてむすびにすると、ひがみっぽくなるし、なにより准教授や准看護師に失礼だからやめよう。




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