「郵便振替」というものがある。
僕もタヌパックとイーネットコーポレーション用の2つの振替口座を開設している。
開設してもう長い時間が経つが、いまだに「郵便振替」というものの仕組み、仕様がよく分からない。これは僕だけだろうか?
例えば、下の説明を一度読んだだけで、すっと理解できる人がどれだけいるだろう。
●「郵便振替」とは、郵便振替口座を持っている人(加入者)同士で、口座の預り金を振り替えることにより、送金することです。
●白地に赤枠(料金受取人負担)や青枠の用紙での入金は「郵便払込み」であり、「振替」ではありません。
●「郵便払込み」とは、郵便振替口座を持っている人(加入者)に、送金や支払いをする人が現金等を入金することで、銀行等での、「振込」にあたります。
●「郵便払込み」を「郵便振込」とは言いません。
●「郵便振替口座」とは、「一般振替口座」及び「ぱ・る・る」のことです。
●「通常払込み」を利用するには、受け取る方が、「一般振替口座」(「ぱ・る・る」ではない)を開設している必要があります。
通販などで物を買うと、振り込み用紙が同封されていることがある。
タヌパックでのCDや本のネット通販にもこれを利用している。
今まであれを「郵便振替」だと思っていたのだが、違うらしいのである。あれは「郵便払込み」であって、「振替」ではないのだそうだ。
ということは、「料金は後払いで、同封の振替用紙による郵便振替、または銀行振込でお願いいたします」といった説明は間違いで、「同封の用紙による
郵便払込みで」と書かなければならないのだろう。
それにしては、「郵便振替」も「郵便払込み」も、入金があったことを知らせる郵便物の封筒は同じで「郵便振替受払書類在中」と印刷されているし、中に入っているのは「郵便振替受払通知票」なのである。
ということは
「郵便払込み」は「振替」ではないが、広義の「郵便振替」の1つである……ということになるのだろうか?
実際、郵便振替口座を持っていれば、「郵便振替」だけでなく、「郵便払込み」で送金を受けることもできるわけなのだから。
さて、今、「郵便振替口座」を持っていれば……と書いたが、「郵便振替口座」には「一般振替口座」と「ぱ・る・る」の2種類があるという。
「ぱ・る・る」(このナカグロにはなんの意味があるのだろうか。書きにくくてしょうがないので、今、単語登録した)とは何か?
郵便貯金ホームページによると、「一冊の通帳で7つの機能(貯える、受け取る、支払う、ふやす、借りる、使う、送る)を持ち、皆様の暮らしをサポートする、送金機能付総合通帳」ということらしい。要するに郵便貯金の総合口座、一般の銀行普通口座と同じようなものだろう。
ちなみに僕は持っていない。持っているのは「一般振替口座」である。
では、「広義の郵便振替?」において、「一般振替口座」と「ぱ・る・る」はどう違うのかというと、「通常振替」「通常払込み」は相手方が「一般振替口座」でなければならず、「ぱ・る・る」に対してはできない。
で、今さらっと「通常振替」「通常払込み」と書いたが、実は「郵便振替」にも「郵便払込み」にも、「通常」と「電信」がある。
だから正確には、「広義の郵便振替?」には、
通常振替、電信振替、通常払込み、電信払込み……の4つがあるわけだ。
これらはどう違うのか?
●通常振替
- 送る側、受け取る側双方が「一般振替口座」を持っている必要がある。
- 送金の際は、郵便局の貯金窓口で申し込むか、貯金事務センターあてに直接申し込む。
- その際、払出通知書、払出票、届出の印鑑が必要。
- 振替の請求をいったん事務センターに郵送し、適宜取りまとめてから振替の処理を行うため、処理に一週間程度必要。
- 料金は一律15円。
- 料金は送る方で負担(料金払出加入者負担)することも、受け取る方で負担(料金振替先加入者負担)することもできる。
僕はこれをやったことがない。15円は安いが、いちいち郵便局の窓口に行ってハンコ押した書類を作って提出して、それから相手に着金報告が行くのに1週間もかかったのではたまらない。
実際、これでひどい目に合うことが年に何回かある。「入金しました」というメールが届いても、こちらの口座にはなかなかお金が入ってこない。1週間経った頃、あまり見慣れないペラペラの振替票のコピーが郵送されてくる。実際には、1週間どころか、半月以上かかったこともある。これではネット時代の商取引においては使い物にならない。
「ぱ・る・る」ではこの方法はとれないわけだが、とれなくて結構である。これで送金する人が増えると、受け取り側は確認までに滅茶苦茶時間がかかり、事務処理に困難をきたすからだ。
●電信振替
- 送金の際は、郵便局の貯金窓口で「電信振込請求書」に記入して申し込む。ATM利用、パソコンからの手続きも可能。
- 窓口の場合、郵便振替電信振込依頼書、「ぱ・る・る」の通帳または郵便貯金キャッシュカード、届出の印鑑が必要。
- 窓口の場合でも、その場で振替処理をしてくれるので、相手にはすぐに届く。
- 料金は窓口扱いが140円、ATM利用が120円、パソコンからオンラインだと110円。
- 料金は送る方で負担(料金払出加入者負担)することも、受け取る方で負担(料金振替先加入者負担)する事もできる。
これを利用している人は多いだろう。「ぱ・る・る」から「ぱ・る・る」への送金は、「電信振替」のみで、「通常振替」はできないからだ。
●通常払込み(現金払い込み)
商品に振替用紙が同封されていて、それを持って郵便局の窓口に行ったときなどはこれ。
相手が「ぱ・る・る」の場合はできない。
- 郵便局の貯金窓口で現金などを持参し、申し込むことにより送金される。
- 払込機能付きの郵便貯金自動預払機(ATM)や郵便振替自動受付機(APM)でも受付可能。
- 払込みの請求を適宜取りまとめてから入金するので、処理に数日必要。
- 料金は、送金額1万円以下は、窓口扱い100円、ATM利用は60円。10万円以下は同150円/110円。100万円以下は250円/210円。
ちなみにこの料金体系は2006年4月から大幅に変わった。今までは1万円以下は70円だったから、窓口を使うと一気に43%増だ。
●電信払込み
相手が「ぱ・る・る」の場合、「通常払込み」はできず、この「電信払込み」で対応する。
- 電信振込請求書用紙に送金額と料金を添えて、郵便局の貯金窓口に直接持参。
- 窓口でオンライン処理されるため、即座に相手口座に入金される。
- 相手には受払通知票及び受入明細票を郵送して、送金があったことを通知。(相手が「ぱ・る・る」の場合は有料)
- 料金は、送金額1万円以下は210円、10万円以下は340円、100万円以下は600円。
窓口に振り込み用紙を持参するところまでは同じで、そこからの処理をどうするかということらしい。普通に考えるとオンライン処理したほうが安そうなものだが、そうはならない。
●通常現金払
この4つだけでもややこしいが、この4つの他に、送金者がゆうちょの口座を持っている場合は、送金者の口座から払い出して、払出証書を発行し、受取人に郵送する送金方法というものもある。これを「通常現金払」というそうだ。あまり「通常」とも思えないのだが……。
- 郵便局の貯金窓口で申し込む。払出書と届け出の印鑑が必要。
- 送金側が「一般振替口座」を持っている必要がある。「ぱ・る・る」では不可。
- 料金は送金額1万円以下は140円、10万円以下は230円、100万円以下が600円。
- 受取人は、郵送されてきた郵便振替払出証書、印鑑、本人確認書類(払渡金額が200万円を超える場合)を持参して、郵便局窓口で金を受け取る。
今まで一社だけ、印税をこれで支払ってきた出版社があった。それ以外、僕は送金はもちろん、受け取りでも滅多に経験がない。
●電信現金払
これもオンライン処理の電信扱いがある。こちらは相手にすぐ金が届くことが重視されるわけで、受け取り方法が4つ用意されている。
ο 証書払(送達)
受取人の住所の近くの郵便局から、速達等で証書を送付。
ο 証書払(留置)
指定された郵便局に証書を留め置き、受取人に渡す。
ο 居宅払
受取人の住所の近くの郵便局から、速達現金書留等で現金を送付。
ο 窓口払
指定された郵便局で現金を受取人に渡す。
さて、ここまで書いてきて、とっても疲れてしまった。自分でもよく分かっていなかったことなので、忘備録代わりに書いてみたが、本当にこれで正しいのだろうか。何度見直しても不安だ。
要するに、「郵便振替」といっても、実はいろいろあって、一般に「郵便振替」だと思っていたものは「郵便払込み」であって「郵便振替」ではない、などなど、実に難しい。
制度が複雑すぎるのも困るが、実際に利用していて深刻に困るのは以下の点だ。
1)「郵便振替」(通常振替)は、一律15円の手数料は結構なのだが、着金までにあまりに時間がかかりすぎる。
2)郵便振替(通常振替)、郵便払込み(通常払込み)は、インターネットでの入金確認が一切できない。受払通知票が郵送されてくるまでは着金したのかどうか、また入金の内容が分からない。これもときとして郵便事故で通知票が届かなかったり、ひどく遅れることがある。
3)電信扱いの振込はインターネットで内容が確認できるが、3日するとデータが消えて参照できない。
4)「一般振替口座」の場合、通帳にあたるものがない上、インターネットで入金記録を確認することができないため、事務処理は送られてくるバラバラの振替受払通知票を見て、すべて手動でやらなければならない。
ネット社会の現代において、こんな不便なものがありえるのだろうか?
あまりにも理不尽なので、自分が何か勘違いしているのではないかと思い、一度、郵便局の窓口で訊いてみたことがある。
「窓口で通常払い込みされたものも含めて、入金内容一覧を確認する方法を教えてください」
「払込取扱票のコピーが郵送されておりますので、それでご確認ください」
「バラバラに郵送されてくる払込取扱票のコピーを見るしか確認手段がないんですか? 一覧表示とかはできないんですか?」
「はい、できません。センターに照会することはできますが、そのためには依頼書を書いていただいて……」
「それはあまりにも非実用的ですよね」
「そうですね。事故が起きたと思われるとき以外ではやりませんね」
「その事故ですが、払込票が郵便事故で届かなかったりしたら、入金があったことを永遠に気づかないこともありますよね」
「払込票が届かないということは想定されていません。あれは必ず届くという前提ですから」
……こんな調子で、まったく埒があかなかった。窓口のお姉さんは、ちょっと気の毒そうな顔で、
「インターネットで現在残高を調べることはできるので、頻繁に残高を調べれば、増えている額を割り出して、予定されている入金があったかどうかを
推察することはできます」なんて裏技まで教えてくれた。
なんなんだろなあ。
3月まで、一般の振込手数料は1万円以下は70円だったが、インターネットで送金すると110円で、人間の手を介さないオンライン処理のほうが高くつくというねじれ現象が起きていた。(今でもそうだ)
窓口で人間が紙を処理して、結果を紙で郵送する(つまり、人間と交通手段を使って配達する)ほうが、コンピュータがオンライン処理するより安いというのはどういうことなのか。どうも「職員を使うのはただ」といったお役所感覚から生まれているシステムのような気がする。
ついでにいえば「はらいこみ」は「払い込み」か「払込」だと思うが、ゆうちょのサイトを見る限り、なぜか「払込み」と、「込み」だけを送りがなつきで表記している。おかげでこの原稿を書く上でも、「払い込み」と変換された後にいちいち「い」を消去しながら書かなければならなかった。この表記の理由を知りたい。「ぱ・る・る」のナカグロもね。
郵政民営化の結果か、窓口からの振込手数料は値上がりしたが、いまだにオンラインでの入金内容確認すらまともにできない。
いつ、誰が、いくら、なんの名目で入金してきたかをすぐに知る……これってお金のやりとりにおいては最も基本的なことでしょ。
今日(4月7日)も、3月31日の「通常払込み」の通知が1週間遅れて届いた。
なんとかならんのでしょうか……って、誰に言えばいいのかな。民営化後の総責任者って誰?